抄録
接触アレルギーの研究の第一歩は感作の有無を正確に判定し得る方法の確立にある.そして一般にはパッチテストが,この目的に適った方法として利用されている.しかし,6価クロム(Cr6+),コバルト(Co),ニッケル(Ni)に関しては,至適濃度とされる抗原試薬を用いても,そのprimary irritancyのため,しばしば紛らわしい反応に直面し,allergicな反応かtoxicな反応かの判断に苦慮することが多い.このようにパッチテストでCr6+,Co,Niによる感作の有無を判定することには限界があるため,皮内テストを導入して,この問題を検討した.その結果,Cr6+,Co,Niアレルギーに関してはパッチテストより皮内テストの方がより特異的であることが判明すると同時に,皮内テストが実用的にも優れた方法であることが分かった.そして,これに基づいてCr6+,Co,Niによる非職業性接触皮膚炎の臨床的観察を行なった.また,この皮内テストを動物感作実験にも応用することにより,正確に感作成立の有無を判定出来たため,Cr,Co,Ni間の交叉感作の問題,Cr,Co,Niの感作能の強さ,更にはCr皮膚炎に於けるCr6+とCr3+の問題等につき多くの知見が得られた.