日本皮膚科学会雑誌
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83 巻, 2 号
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  • 高橋 誠
    1973 年 83 巻 2 号 p. 61-
    発行日: 1973年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    16例の色素細胞母斑をその形態とDopa反応を電子顕微鏡的に観察した.真皮内母斑細胞は巣状をなし,その周囲のみでなく個々の細胞にも基底膜を認めた.Melanosome,premelanosomeの数は真皮上層から下層へ向って減少を示し,下層では全く認められない細胞も存在した.Golgi野はいずれの細胞でも比較的良く発達していた.真皮下層で母斑細胞間に神経要素と思われる構造を認めた.Melanosome,premelanosomeの形態は正常表皮および真皮内母斑被覆表皮のmelanocyteでは定形的構造を示したが,表皮内母斑細胞では定形的なものが多いが非定形のものもみられた.真皮内母斑細胞ではその形態はほとんど非定形で真皮上層部の母斑細胞にわずかに定形的なものを認めるにすぎなかった.また真皮上層部の母斑細胞において不規則な形のものおよび突起を有するものが認められた.Dopa反応所見では光学顕微鏡的には真皮内母斑細胞で真皮上層に陽性反応を認め,中・下層では陰性を示しているが,電子顕微鏡的観察では真皮下層の一部を除いてpremelanosomeとGolgi cistemaの一部に陽性反応を認めた.同様所見は正常表皮・真皮内母斑被覆表皮melanocyteおよび表皮内母斑細胞にも認められた.Golgi cistemaにおける反応性は真皮内母斑被覆表皮内melanocyteで最も強く,真皮下層の母斑細胞で最も弱い傾向を示した.しかし,melanosome,premelanosomeの量とDopa反応強度とは必ずしも平行しておらず,真皮内母斑細胞では真皮中層が最も強く次いで上層,下層の順であった.さらにDopa反応陽性cistemaの形態は表皮内melanocyteや真皮上層の母斑細胞では帯状であるが,真皮内母斑被覆表皮内melanocyte,表皮内母斑細胞,真皮中,下層の母斑細胞では一見酵素の貯留を思わせる不整形を示すものが認められた.表皮内melanocyteおよび母斑細胞においてDopa反応で細胞基質全体の電子密度の増加が認められたが,個々の細胞間に差があるのみならず同一細胞内でも末梢ほど強かった.まれに細胞内小器官を取囲んで限界膜を有する環状のDopa反応陽性反応部が認められた.
  • 原田 昭太郎
    1973 年 83 巻 2 号 p. 79-
    発行日: 1973年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    接触アレルギーの研究の第一歩は感作の有無を正確に判定し得る方法の確立にある.そして一般にはパッチテストが,この目的に適った方法として利用されている.しかし,6価クロム(Cr6+),コバルト(Co),ニッケル(Ni)に関しては,至適濃度とされる抗原試薬を用いても,そのprimary irritancyのため,しばしば紛らわしい反応に直面し,allergicな反応かtoxicな反応かの判断に苦慮することが多い.このようにパッチテストでCr6+,Co,Niによる感作の有無を判定することには限界があるため,皮内テストを導入して,この問題を検討した.その結果,Cr6+,Co,Niアレルギーに関してはパッチテストより皮内テストの方がより特異的であることが判明すると同時に,皮内テストが実用的にも優れた方法であることが分かった.そして,これに基づいてCr6+,Co,Niによる非職業性接触皮膚炎の臨床的観察を行なった.また,この皮内テストを動物感作実験にも応用することにより,正確に感作成立の有無を判定出来たため,Cr,Co,Ni間の交叉感作の問題,Cr,Co,Niの感作能の強さ,更にはCr皮膚炎に於けるCr6+とCr3+の問題等につき多くの知見が得られた.
  • 安江 厚子, 船橋 冨次雄
    1973 年 83 巻 2 号 p. 101-
    発行日: 1973年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    症例は,36才の男子,職業は寿司屋で,営業用に海水魚を飼育していた.初診より約4ヵ月程前に外傷を受けた左手背部に,軽度の瘙ある丘疹が生じ,初診時には,扁平隆起性の表面に軽度の黄色痂皮を附着させる境界明瞭な淡紅色局面となっていた.組織学的検査にて,真皮に各種の細胞からなる非特異性肉芽形成が認められたが,連続切片の抗酸菌染色,PAS染色による検索においては,いずれも菌要素が認められなかった.病巣部より採取した組織片の25℃,小川培地培養,およびサブローブドウ糖寒天培地培養により,それぞれ,Mycobacterium marinum,Sporotrichum schenckiiが分離同定された.また凝集反応および蛍光抗体法による検索にて,Sporotrichum schenckiiに対する患者血清中の抗体価の上昇が認められた.治療としては,ヨードカリとKM,RFPの併用の併用療法が行なわれ,約4ヵ月で治癒をみた.
  • 1973 年 83 巻 2 号 p. 109-
    発行日: 1973年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
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