日本皮膚科学会雑誌
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偽腺性有棘細胞癌(Pseudoglandular SquamousCell Carcinoma)の実験的研究 -とくに本症の起源ならびに腺様構造の本態と形成過程について-
宮田 千珈子
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1975 年 85 巻 4 号 p. 235-

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抄録

偽腺性有棘細胞癌 (pseudoglandular squamous cellcarcinoma) の起源を明らかにし,微細構造学的見地から,細胞分離 (segregation) の機序と,組織学的特徴所見である腺様構造の本態ならびに形成過程を解明する目的で,マウス背面にメチルコラソトレンを塗布し,実験的に生ぜしめ得た偽腺性有棘細胞癌に極めて類似しだ腫瘍を,経時的に光顕的ならびに電顕的に観察した.その結果,本腫瘍の起源を毛嚢漏斗部と推測した.また電顕的観察所見から,細胞分離 (segregation) は,腫瘍細胞のトノフィラメントならびにデスモゾームの未発達性に起因した細胞問接着能の著しい低下の結果と考えた.腺様構造は,腫瘍細胞巣の中心部でとくに細胞問接着能の低下が顕著で,腫瘍細胞巣辺縁の細胞を残してばらばらに遊離し,かつ遊離細胞が個々に角化している状態により招来された変化と考えた.. さらに本実験結果ならびに臨床例を参考にし,細胞分離 (segregation) と毛嚢由来の腫瘍との関連性につき若干の考察を加えた.

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© 1975 日本皮膚科学会
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