日本皮膚科学会雑誌
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Bowen病様病変の多発した2例についての臨床的・組織学的検討
荒田 次郎大野 公郎
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1975 年 85 巻 4 号 p. 217-

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抄録

Bowen 病様病変の多発した2症例について,臨床的・組織学的検討を行った.臨床的には,① 病巣が多発しているとと,② 病巣が疣贅状小岩状に角化する傾向の強いこと,③ 掌蹠の点状~疣贅状角化を有すること,④ 皮膚あるいは内臓の悪性腫瘍を合併することが共通する所見であった.組織学的には,殆んど良性の異常角化(dyskeratosis) といえるものから, Bowen 病的異常角化,さらに,有棘細胞癌に至る多様な変化が見られ,臨床的にそれほど侵襲性に見えない部で,すでに侵襲性癌の組織像の見られるところの多いのが注目された.以上の所見より,診断としては砒素角化症,砒素癌が最も考え易く,おそらくは,砒素により,ケラチノサイトめ運命に種々の逸脱傾向が生じ,多彩な皮膚病変を呈するに至ったものと考えられた.

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© 1975 日本皮膚科学会
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