日本皮膚科学会雑誌
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DNCB接触過敏症に対する抗ハプテン抗体の影響
難波 英彦
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1977 年 87 巻 7 号 p. 411-

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抄録

DNCB を塗擦感作したモルモットについてハプテンに対する血中抗体価と塗布反応の関連性を検討して以下の結果を得た. 1. DNCB 1回塗擦感作動物について, a) DNCB に対する塗布反応は,感作後1~3週が強く,6週以後は明らかに反応性の減弱がみられ,14週後には半数以上が陰性となった. b ) DNP- 同種表皮水溶性成分 (GpE) を抗原とした腹腔細胞の遊走阻止率は, DNP- 同種血清 (GPS),DNP-OVA のそれより高い傾向がみられたか,経時的には注目すべき変化はなかった.c)感作血球凝集反応により測定した抗DNP抗体価は,感作2週後にほぼ最高に達し,その後14週迄大きな変動はみられなかった. PCA 反応では2週後に高率に陽性を示した. 2. DNCB を頻回塗擦して感作した動物では,塗擦を重ねるにつれ塗布反応は減弱するのに対して抗 DNP 血中抗体価は上昇する傾向がみられた. 3.感作後に Cy clophospham ide を投与すると,非投与群に比して血中抗体の出現は遅れるが,塗布反応は増強し,抗体価の増加にともなって塗布反応は減弱する傾向がみられた. 4.感作後血中抗体が検出されない時期に,同種抗 DNP 抗体を移入すると,塗布反応は明らかに減弱した.

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© 1977 日本皮膚科学会
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