日本皮膚科学会雑誌
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Gianotti病とB型肝炎ウイルス
安江 厚子三田 一幸安江 隆
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1978 年 88 巻 13 号 p. 931-

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抄録
定型的な発疹を四肢,顔面に生じ,爪蹊部リンパ節腫脹と非黄疸性肝炎が認められ,血清中の HBs 抗原が強陽性であった12歳女子症例を報告した.家族内に肝疾患の既往者や, HBs 抗原陽性者はみられず,患者への HB ウイルスの感染経路として水平感染が疑われたが,患者自身の血清中の e 抗原,e 抗体は陰性であった.Gianotti 病を生ずる HBS 抗原の subtype としては,ayw が注目されているが,本症例の HBs抗原の subtype は adr であった. 蛍光抗体法にて,本症例の皮膚病変部の真皮血管内皮細胞と思われる細胞の原形質内に細顆粒状に染まる HBs 抗原の特異蛍光が認められ,すでに報告されている電顕での真皮血管内皮細胞内の microtubular structure の存在や,蛍光抗体法での血管壁への C3 の沈着所見と考え合わせ,本症の皮疹もまた HB ウイルスそのものにより惹起されるものと推察された.
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© 1978 日本皮膚科学会
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