日本皮膚科学会雑誌
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汎発性鞏皮症における細胞性免疫の検討
服部 瑛
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1978 年 88 巻 5 号 p. 347-

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抄録

汎発性常皮症の細胞性免疫の態度について検討した.その結果,(1)末梢血中の T リンパ球の減少,ツベルクリン反応や DNCB 貼布試験による遅延型皮膚反応の減弱化を認めた.これらの異常は,特に,本症の重症型であるタイプ3 (Barnett) において顕著であり,また抗核抗体,リウマチ因子の出現頻度は逆にタイプ3で高かった.(2)しかしながら一方,本症リンパ球は,本症患者尿中より分離したムコ多糖画分を添加抗原とした際,皮膚硬化惹起能を有するムコ多糖画分(発病因子)に対し特異的に感作されていることを leukocyte migrationinhibitiontest および lymphocyte transformation test で確認した. (3)さらに本症患者リンパ球は,しばしば同種および自己の培養線維芽細胞を傷害することを観察し,また上述の発病因子の添加により傷害性の増強が示唆された.これらのことは発病因子と目されるムコ多糖画分は,直接的に皮膚に硬化病変を惹起するとともに,一方では患者リンパ球を感作し,感作リンパ球を介して本症の病態生理に関与している可能性を考えることができる.

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© 1978 日本皮膚科学会
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