日本皮膚科学会雑誌
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エリテマトーデスの皮疹部皮膚における免疫組織学的解析とその意義に関する研究
五十嵐 良一
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1979 年 89 巻 12 号 p. 831-

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抄録

慢性円板状エリテマトーデス (DLE) および全身性エリテマトーデス (SLE) の皮疹部皮膚について免疫組織学的な検索を行った結果, DLE では表皮真皮結合部(junction) や真皮血管に lgE の沈着は認めず,また真皮血管において他の免疫グロブリン (lg) などの沈着は,上層で比較的認められ下層では少なかった. SLE ではjunction や真皮血管に lgE の沈着を認める症例があり,これらはいずれも病勢が急性期であった.真皮血管においては他の lg などの沈着は DLE と異なり上層,下層ともほぼ同率に認められた. 次に蛍光所見と臨床所見との関連性を検討した. DLE と SLE で差が認められたのは真皮血管における蛍光所見と臨床所見との関係であった. DLE では RA など2,3の検査所見を除いて諸検査成績が正常範囲の症例の真皮血管に沈着が多いのに対し, SLE では病勢が急性期,すなわち諸検査成績に異常を示す症例に蛍光陽性所見が多かった. また DLE と SLE の一部の症例に血清lgE高値を示す症例があった.これは DLE では男子で皮疹が多発し,経過の長い症例であり, SLE では病勢が急性期の症例であった. 以上より,特に真皮血管における蛍光所見と臨床所見との関係から,エリテマトーデスの皮疹発生機序に DLE では細胞性免疫の, SLE では液性免疫の関与が大きいものと考えた,

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© 1979 日本皮膚科学会
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