日本皮膚科学会雑誌
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実験的スポロトリコーシスに関する研究
蜂須賀 裕志
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1979 年 89 巻 14 号 p. 1053-

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抄録

DD 系無処置マウス, Cyclophosphamid 処置マウス,コバルト照射マウス,ヌードマウス Littermate マウス Hurtley 系モルモットに Sporothrix schenckii を接種し,肉眼的・組織学的に観察し,また末梢血および病巣内リンパ球の subpopulation を検討した. 1.皮下接種時の肉眼的病巣は,接種後12日日には無処置マウスCyclophosphamide 処置マウス,ヌードマウス,放射線照射マウスの順に大きかった.18日後には放射線照射マウスの病巣が増大し,ヌードマウスより大きくなった. 2. 接種後14日目の組織検査では好中球,組織球,リンパ球より或る肉芽腫が形成され,その形成の程度は肉眼的所見とほぼ平行した. 3.組織内菌要素は逆に,放射線照射マウス,スードマウス Cyclophosphamide 処置マウス,無処置マウスの順に多かった. 4.腹腔内に接種し,各臓器より逆培養をおこない,Littermate マウスより,ヌードマウスがより多くの臓器から菌が分離された.それぞれヨードカリを投与すると,菌の分離が減少した・ 5. モルモットの病巣におけるリソパ球の subpopulatioa を検討し,T・cell が少なく, B-cell が優勢に認められた. これらより,スポロトリコーシスの感染防禦機構は,細胞性および体液性免疫が関与し,特に好中球が重要な役割りを果たすと考えられる.

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© 1979 日本皮膚科学会
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