日本皮膚科学会雑誌
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89 巻, 14 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 岡田 哲哉, 岩尾 英一, 川津 智是, 山田 徹太郎, 松田 光司, 町野 博, 三木 吉治
    1979 年 89 巻 14 号 p. 1031-
    発行日: 1979年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    組織学的に真皮内にも菌要素の認められた汎発性皮膚カソジダ症の経過中にホジキン病が出現し,カンジダ症,ホジキン病は軽快したがヘルペス脳炎を併発して死亡した53歳男性の1例を報告した. 本症例は初診時から P.P.D. をはじめとする各種の遅延型皮膚反応を欠除し,末梢血中 T 細胞数は正常であづたが,リンパ球幼若化現象などは陰性で,強い細胞性免疫不全状態を呈し,これがカンジダ症の汎発化,深在化の原因となったと考えられた. ホジキソ病は病期分類上 stage IV, A で,組織学的には lymphocytic depletion type であり,予後が悪く,強い細胞性免疫不全の原因となった可能性が強い.本症例はその他に,播種状汗孔角化凪尋常性洗贅,扁平疣贅,伝染性軟属託,ボーエン病,汎発性帯状疱疹を合併した.
  • 桜井 学
    1979 年 89 巻 14 号 p. 1041-
    発行日: 1979年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    1)健常人身体19部位の皮膚,ならびに尋常性乾癬,滴状類乾癬,慢性湿疹,表皮母斑,汗孔角化症,鱗状毛包性角化症,進行性紅斑性角皮症,尋常性疣贅,脂漏性角化症の9種の皮膚疾患患者の無疹部および皮疹部皮膚についてMlUon反応ならびにacid fastgreen 染色を施し,表皮基底層,有棘層,ならびに顆粒層の細胞核の非ヒストソ蛋白を細胞化学的に測定した,これにより,表皮の分化に伴り表皮細胞核非ヒストン蛋白の変動と,分化に際し,優位に関与する非ヒストソ蛋白の分子種 (優位蛋白)の推定を試みた. 2)健常人身体19部位の表皮については,非ヒストン蛋白は分化と共に漸減する.腹部では中性非ヒストソ蛋白が,前腕屈側と下腿伸側では酸性非ヒストソ蛋白が優位であったが,他の16部位では特に優位の蛋白は認められなかった. 3)鱗状毛包性角化症では無疹部において,すでに酸性蛋白が優位を示し,かつその変動が異常を示していた. 4)尋常性乾癬の皮疹部では酸性蛋白の変動は正常,中性蛋白の変動は異常であった.いずれの蛋白か優位であるかは決定できなかった・ 5)進行性紅斑性角皮症の皮疹部では,酸性蛋白の変動パターンに異常があったが,優位蛋白分子種の決定はできなかった. 6)慢性湿疹皮疹部と汗孔角化症の皮疹中央部では,非ヒストン蛋白の変動は正常であったが,優位蛋白は酸性蛋白であった. 7)非ヒストン蛋白の変動パターン,ならびに優位蛋自分子種に関して著しい異常を示さなかった残りの4疾患中,滴状類乾癬と脂漏性角化症では,皮疹部と無疹部の間で基底細胞核非ヒストン蛋白含量に差が認められた.残りの表皮母斑と尋常性疣贅では,非ヒストン蛋白含量に関しても異常を認めず,これらの疾患の病態発生には非ヒストン蛋白の異常は関与しないものと考えられた,
  • 蜂須賀 裕志
    1979 年 89 巻 14 号 p. 1053-
    発行日: 1979年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    DD 系無処置マウス, Cyclophosphamid 処置マウス,コバルト照射マウス,ヌードマウス Littermate マウス Hurtley 系モルモットに Sporothrix schenckii を接種し,肉眼的・組織学的に観察し,また末梢血および病巣内リンパ球の subpopulation を検討した. 1.皮下接種時の肉眼的病巣は,接種後12日日には無処置マウスCyclophosphamide 処置マウス,ヌードマウス,放射線照射マウスの順に大きかった.18日後には放射線照射マウスの病巣が増大し,ヌードマウスより大きくなった. 2. 接種後14日目の組織検査では好中球,組織球,リンパ球より或る肉芽腫が形成され,その形成の程度は肉眼的所見とほぼ平行した. 3.組織内菌要素は逆に,放射線照射マウス,スードマウス Cyclophosphamide 処置マウス,無処置マウスの順に多かった. 4.腹腔内に接種し,各臓器より逆培養をおこない,Littermate マウスより,ヌードマウスがより多くの臓器から菌が分離された.それぞれヨードカリを投与すると,菌の分離が減少した・ 5. モルモットの病巣におけるリソパ球の subpopulatioa を検討し,T・cell が少なく, B-cell が優勢に認められた. これらより,スポロトリコーシスの感染防禦機構は,細胞性および体液性免疫が関与し,特に好中球が重要な役割りを果たすと考えられる.
  • 萩山 正治
    1979 年 89 巻 14 号 p. 1063-
    発行日: 1979年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    ヒト角層に in vitro と invivo で実験的に DRYSKIN を作成してその発症機序を検討した. in vitro ではヒト死体皮膚より角層を分離して,N2 ガス法,水浸漬法,凍結乾燥法及びヘキサン法の4種類で DRY SKIN 作成を試みた.観察は,肉眼,光顕及び走査型電顕で行った,分離した角層試料を水又は 1% ラウリル硫酸塩(以下 SLS と略)溶液に1乃至7日間浸漬後,各々の試料中に含まれるコレステロール(以下 CL と略),フォスフォリピド(以下 PL と略)値を測定し,対照としてフォルチ氏液24時間浸漬後可溶化される脂質値を 100% として比較検討した.又7日間浸漬後可溶化されてくるアミノ酸値を分析した. in vivo では,小プラスチックカップを作成し被験者に装着後水を注入して数日間浸軟させたのち乾燥したところ被験部に DRY SKIN が生じた.乾燥度と溶出蛋白量,アミノ酸量,および剥離細胞数との相関を検討して,以下の結果を得た. 1)分離ヒト角層に DRY SKIN を作成するには水浸潰前処置と乾燥の組み合わせが効果的であった.とくに角層表面に落屑が生じる為には水浸漬による角層の前処理が必要であった. 2)走査型電顕による DRY SKIN 表面の観察から,Nz ガス法による DRY SKIN では,皮溝の消失と角層間の軽度の剥離がみられた.水浸漬によるDRY SKIN では皮野,皮溝の完全な消失と,角層が塊状に大きく剥離しているのが観察された.いずれも個々の角層細胞には形態的変化はみられなかった. 3)角層を水または SLS に浸漬すると浸漬時間に比例して,コレステロールとホスフォリピドの比が上昇し,共に2成分の著しい減少がみられた.またアミノ酸も同時に溶出して SLSでは水に比較して著しく高値であった. 4) in vivo では,被験部の乾燥度と溶出蛋白量,1% Tritonx 液可遊離性角層細胞数との相関をみたところ,乾燥度に比例して,溶出蛋白量,剥離細胞数ともに増加がみられた.
  • 中島 静香
    1979 年 89 巻 14 号 p. 1073-
    発行日: 1979年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    円形脱毛症の発症原因に関して免疫学的な検索が種々試みられているが,著者は円形脱毛症患者の病巣皮膚生検材料について蛍光抗体法を行ない,これまで確認されていなかった毛球部内毛根鞘の毛母細胞間に免疫グロブリンG の沈着を証明し得た.円形脱毛症患者35例中17例に陽性所見を認め,陽性の者は毛嚢周囲に細胞浸潤があり,予後か比較的良好,免疫グロブリン値は正常,ステロイド外用に効果が認められるものが多い傾向にあった.
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