日本皮膚科学会雑誌
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trichoepithelioma papulosum multiplexの4例 -特に細胞形質内に見られた大型グリコーゲン顆粒について-
松崎 孝子馬場 俊一石田 洋子森岡 貞雄
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1979 年 89 巻 5 号 p. 327-

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抄録

自験例は7歳,11歳,43歳の母娘の顔面に発症した trichoepithelioma papulosum multiplex. と15歳の女子の顔面に一生じた典型的なtrichoepithelioma papulosummultiplex の4例を報告した.光顕下では,真皮中に基底細胞様細胞よりなる腫瘍塊と角質嚢腫を見,腫瘍塊中では,核に接し粗大な円形ないし楕円形の PAS 陽性穎粒が存在した.電顕的に PAS 陽性穎粒は,膜様構造を持たず intracytoplasmic vacuole として認められ,グリコーゲンであることが判明した. 本症はグリコーゲン顆粒の観点より対照として行った basal cell epithelioma, 正常成熟毛包の外毛根鞘,胎児の毛包のグリコーゲン顆粒と比較検討したところ,形態学的に正常成熟毛包の外毛根鞘に一部類似する毛やはり,これら3者のいずれのグリコーゲン顆粒とも異る,本症に見られる特異的な顆粒ではかと思われる.

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© 1979 日本皮膚科学会
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