日本皮膚科学会雑誌
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外用 8-Methoxypsoralen 光療法の乾癬に対する効果の二重盲検法による検定(付: ドレニゾンテープとの比較)
水野 信行
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1980 年 90 巻 4 号 p. 313-

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抄録

本邦25施設の共同研究として, Nummular psoriasi 111例について, 〔8MOP (M')外用+UVA〕(Mと略)の効果を〔8MOPを含まない基剤(P')外用+UVA〕(Pと略)を対照としての二重盲検テスト法によって検討した.併せて,オープンスタディによるドレニゾンテープ(Dと略)と M との効果の比較検討も行なった.これらの3テストは同一対象患者に同時に行なった.効果の評価のため,新たに積算有効率,積算治癒率,積算再発率および積算実質治癒率の考えを導入した.これにより,治療の実態がより具体的に把握できるようになった.その結果をまとめると (1)治療効果,再発の起こりにくさおよび有用性の点について,M は P に有意に勝った. (2) M と D では,治療効果は D が M に勝り,再発の起こりにくさおよび実質治癒率では M が D に勝ったが,有用性の点では M と D との間に有意の差はなかった. (3) 15週以内の治療を行なった場合の M の結果は,治癒 50.47%, 著効 12,15%,有効 14.95%, やや有効 14.95%, 無効 4.67% および悪化 2.80% であった. この場合,治癒群の治療回数は 10.24 ± 5.12回,照射総線量は 61.64 ± 72.91 J/黴€3であった. (4) M による治癒56例中治癒後8週間以内の再発率は 19.6% であった.また,最高29週までが再発率は 26.8% で.その寛解期間は 12.6 ± 7.9 週であった.非再発例の観察期間は 11.3 ± 5.3 週であった. (5)副作用は,M 群に刺激感,潮紅,腫脹,水疱,ビランおよび瘙痒などが初期に少数認められた.色素沈着は,治療15週が最高で,  67.57% に認められた. (6)色素沈着の起こりやすい例は治りやすい傾向があった.

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© 1980 日本皮膚科学会
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