日本皮膚科学会雑誌
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Minocycline Hydrochloride による Mycobacterium marinum 皮膚感染症の治療について
中嶋 弘黒澤 伝枝高梨 雄蔵片倉 仁志
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1980 年 90 巻 4 号 p. 333-

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抄録

Mycobacterium (M.) marinum 皮膚感染症の3例に Minocycline hydrochloride(MINO)を1日200mg内服させ,3例共6週間で治癒させ得た. Rifampicin(RFP)による治療期間は3~7ヵ月であったのでMINO では RFP より短期間で全治が可能であった. MINO の MIC はデュボス培地では1.6~3.1μg/ml.小川培地では25~50μg/mlであった.なお Tetracycline hydrochloride(TC)の MIC はデュボス培地では3.1~6.3μg/ml,小川培地では25~50μg/mlであった. 以上の成績から,また抗結核剤より問題となる副作用が少ないこと,安価であることなどからテトラサイクリン系薬剤,特にMINOはM. marinum 皮膚感染の一次選択剤であると考えられる.しかし MIC の測定法の問題,効果発現機序の問題など未解決のことも多く,これら問題についても若干の考察を行った.

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© 1980 日本皮膚科学会
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