日本皮膚科学会雑誌
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同種皮膚移植に対するHLA抗原の影響
樋口 道生清 佳浩中島 照子滝内 石夫辻 公美
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1980 年 90 巻 6 号 p. 485-

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抄録

広範囲熱傷患者に1,000名を越す一般市民より皮膚提供の申し出をうけ, 312名についてHLA-A, B抗原を検査した. Recipient との不適合の組合せの少ない donor 38名について mixed lymphocyte culture(MLCと略)をも検索し allograft を施行した.HLA matchinggrade と graft の生着日数の関係は,移殖後25日目までの比較的短期間に関しては, 0 mismatch 群と 1 mismatch 群との間に有意差はないが, 2 mismatch 群では 0+1mismatch 群に比べて明らかに拒絶を受ける割合が多くみられた.28日以上生着した graft に関しては3群間に有意差はなかった.また各群の平均生着日数は,0 mismatch 群では31.8±9.6日,1 mismatch 群では51.3±58日, 2 mismatch 群では19.4±14.9日であった. MLC に関しては生着日数に有意差は認めなかった.同一の donor より採皮され異なる部位に移殖された paired graft は7例中5例は同時日に拒絶された. Cellmediated lymphocytolysis (CMLと略)の結果では,短期生着群は長期生着群に比べて recipient により破壊を受けるパーセントが経日的に上昇していった.

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© 1980 日本皮膚科学会
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