日本皮膚科学会雑誌
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90 巻, 6 号
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  • 樋口 道生, 清 佳浩, 中島 照子, 滝内 石夫, 辻 公美
    1980 年 90 巻 6 号 p. 485-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    広範囲熱傷患者に1,000名を越す一般市民より皮膚提供の申し出をうけ, 312名についてHLA-A, B抗原を検査した. Recipient との不適合の組合せの少ない donor 38名について mixed lymphocyte culture(MLCと略)をも検索し allograft を施行した.HLA matchinggrade と graft の生着日数の関係は,移殖後25日目までの比較的短期間に関しては, 0 mismatch 群と 1 mismatch 群との間に有意差はないが, 2 mismatch 群では 0+1mismatch 群に比べて明らかに拒絶を受ける割合が多くみられた.28日以上生着した graft に関しては3群間に有意差はなかった.また各群の平均生着日数は,0 mismatch 群では31.8±9.6日,1 mismatch 群では51.3±58日, 2 mismatch 群では19.4±14.9日であった. MLC に関しては生着日数に有意差は認めなかった.同一の donor より採皮され異なる部位に移殖された paired graft は7例中5例は同時日に拒絶された. Cellmediated lymphocytolysis (CMLと略)の結果では,短期生着群は長期生着群に比べて recipient により破壊を受けるパーセントが経日的に上昇していった.
  • 武田 克之
    1980 年 90 巻 6 号 p. 491-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    0.05% Clobetasone 17-butyrate 軟膏(CB)を成人乾癬患者に密封包帯法(ODT)で外用し,全身への影響と臨床効果について, 0.1% Hydrocortisone 17-butyrate 軟膏(HB)を対照薬剤に選び,二重盲検法により比較検討した.また CB を幼小児のアトピー皮膚炎患者に単純塗布(SA)で外用し,血漿コーチゾル値,末梢血好酸球数および血糖値の変動を指標として全身への影響を検討した.成人乾癬患者の血漿コーチゾル値は,すべての群で初期値に対して有意に減少したが, HB 30g 群で減少がめだった.各群を比較すると HB 30g 群が CB 30g 群より有意に減少し, CB 30g 群と CB 10g 群の間には有意差を認めなかった. 末梢血好酸球数は CB 10g, 30g 群, HB 10g 群では初期値に対して大きな減少を認めなかったが, HB 30g 群では減少が顕著であった.各群の比較では, CB 30g 群と10g 群の間では有意差がなかったのに対し, HB 30g 群では HB 10g 群より有意に減少した. 血糖値は,成人乾癬患者で変動を認めなかった. なお,臨床効果10g群では CBとHBの間に有意差を認めなかったが, 30g群では4日目と6日目においてHBがCBより有意に優れた. アトピー皮膚炎患者におけるCB 5g群のSAで氏薬剤外用5日後に末梢血好酸球数が初期値に対し有意に減少したが,血漿コーチゾル値と血糖値は変動を認めなかった.
  • 倉田 三保子
    1980 年 90 巻 6 号 p. 503-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    タール系色素である赤色219号(以下R・219)及び1-phenylazo-2-naphthol (以下Sudan I)の各市販物質及び精製物質の感作実験をモルモットを用いて行なった結果, R-219に対する感作は市販物質及び精製物質のいずれによっても成立しなかったが Sudan I に対する感作は両物質のいずれに対しても成立した.さらにSudan 1 感作動物における精製 R-219に対する反応交叉性は認められず,市販 R-219に対する反応のみが陽性を呈したことから,市販 R・219に対する陽性反応は Sudan I の感作に基づくもので, R-219の市販物質中に含まれている微量の Sudan I による反応か発現している可能性が考えられた.Sudan I の市販物質と11種のタール系色素との間の反応交叉性についても実験的に検討したが,陽性所見は認められなかった.
  • 中村 絹代, 松尾 聿朗, 木村 俊次
    1980 年 90 巻 6 号 p. 511-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    黄色腫は脂質代謝異常に伴って生ずる代表的な皮膚病変の1つである.しかし必ずしも血清脂質値の異常を示さない黄色腫が近年注目される様になり,正脂血症性黄色腫としてこれらは総括されている.従来,結節性黄色腫ではその殆んどの患者に高脂血症の II ないし III 型を示すものか多く,非常に稀に正脂血症を示す場合があり,この時,β-sitosterol が血清中,および黄色腫組織内に増量しているとの報告もある.今回,著者らの経験した結節性黄色腫の44歳,および41歳男子の兄弟例では,兄に腱性黄色腫をも合併し,再三の検査にも拘らず高脂血症を見出すことが出来なかったと同時に,兄ではβ-sitostero 1 も陰性であった.これら症例が,果して真に正脂血症の状態において黄色腫を発症したものか,または過去に,一過性の高脂血症の時期があり,遅れて黄色腫が発生し,その後血清脂質が正常範囲に戻ったものか疑問である.著者らは,家族歴より,高脂血症の素因が遺伝している可能性を重視して,後者の様に遅発性の結節性黄色腫と考えたい.今後の症例の追加と,詳細な検討が必要と思われた.
  • 福代 新治
    1980 年 90 巻 6 号 p. 519-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    モルモットの DNCB 接触過敏症における Flare up 反応および Retest 反応の発生機序を抗原の面から検討し,以下の結果を得た. 1) Flare up 反応, Retest 反応とも肉眼的に6ないし9時間後に最高に達する浮腫を伴った紅斑であり,組織学的には表皮細胞内浮腫,海綿状態,表皮,真皮への単核球,多核球の浸潤があり Retest 反応では好酸球の浸潤が目立つ. 2)正常動物に DNB SO3Na を静注し,体内諸組織の DNP 基の分布を抗 DNP 抗体を用いた蛍光抗体法で観察した結果 DNP 基は表皮,口唇粘膜上皮,リンパ節,評,胸腺細胞,末梢白血球に分布し,頬粘膜,胃腸管粘膜,筋,肺,腎,肝内の分布は証明されなかった.表皮での分布は細胞膜を含む胞体に一致して証明され,静注後5分から3日まで証明された.また静脈内に投与された DNB SO3Na は少くとち注射後1時間は未結合であることが示唆された. 3) DNB SO3Na を静注された際に証明される DNP 基の表皮内分布は,感作,未感作動物で差がなく,感作動物の貼布反応をかつて生じた部位とその他の部位で差がみられなかった. 4) Flare up 反応は DNB SO3Na の静脈内,腹腔内投与で誘発され DNB SO3Na の経口投与, DNP-Lysine の腹腔内投与2, 4-dinitrophenol の静脈内投与では惹起されなかった.また前2者の投与後 Flare up 反応部位の表皮に DNP 基が証明されたが,後3者投与後は貼布試験部位の表皮での DNP 基の分布は証明されなかった. 5) DNCB 塗布と同部への FCA の皮内注射によって感作した動物において DNP-GPE, PPD で遅延型皮内反応を惹起し,反応消腿後に DNB SO3Na を静注したところ, DNP-GPE 反応部位のみに Flare up 反応がみられた. 6)DNCB塗布とFCA 皮内注射で感作した動物において DNP-GPE および PPD 反応部位に DNCB を塗布し retest を行なった結果 DNP-GPE反応部位にのみRetest反応がみられた,またFCA加DNP-GPEで感作した動物においてDNP-GPE, PPD 反応部位でDNCBによる貼布試験を行なった結果,試験9時間後には DNP-GPE 反応部位では PPD 反応部位に比し高率に陽性反応がみられた. 7) DNCB 塗布とFCA皮内注射により感作された動物において, DNCB 貼布反応部位で DNP-GPE, PPD による皮内試験を行なった結果 DNP-GPE に対してのみ Retest 反応が観察された. 以上得られた成績から一旦 DNCB に対するアレルギー性接触皮膚炎を生じた皮膚局所には,皮膚炎消槌後にも DNCB と表皮成分に対する感作細胞が残存し,それは DNB SO3Na の静注によってあるいは DNCB の再度の塗布によって形成されたこれらのアレルゲンと表皮成分の結合物と反応して Flare uP 反応あるいは Retest 反応を生ずると推測される.
  • 根木 信, 松井 とみ子, 小川 秀興
    1980 年 90 巻 6 号 p. 531-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
  • 篠田 英和
    1980 年 90 巻 6 号 p. 535-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    acid rt-naphtyl acetate esterase(以後ANAEと略す)染色を正常人末梢血リンパ球およびリンパ節に行ない ANAE 活性陽性穎粒を有する組織内リンパ球はT細胞であることを確めた.本法を若干の皮膚腫瘍に応用し,良性腫瘍ではT細胞浸潤軽微であり,悪性腫瘍ではそれが著しく,また悪性度に応じて浸潤パターンの相違がある,などの知見を得た.
  • 1980 年 90 巻 6 号 p. 539-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
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