抄録
黄色腫は脂質代謝異常に伴って生ずる代表的な皮膚病変の1つである.しかし必ずしも血清脂質値の異常を示さない黄色腫が近年注目される様になり,正脂血症性黄色腫としてこれらは総括されている.従来,結節性黄色腫ではその殆んどの患者に高脂血症の II ないし III 型を示すものか多く,非常に稀に正脂血症を示す場合があり,この時,β-sitosterol が血清中,および黄色腫組織内に増量しているとの報告もある.今回,著者らの経験した結節性黄色腫の44歳,および41歳男子の兄弟例では,兄に腱性黄色腫をも合併し,再三の検査にも拘らず高脂血症を見出すことが出来なかったと同時に,兄ではβ-sitostero 1 も陰性であった.これら症例が,果して真に正脂血症の状態において黄色腫を発症したものか,または過去に,一過性の高脂血症の時期があり,遅れて黄色腫が発生し,その後血清脂質が正常範囲に戻ったものか疑問である.著者らは,家族歴より,高脂血症の素因が遺伝している可能性を重視して,後者の様に遅発性の結節性黄色腫と考えたい.今後の症例の追加と,詳細な検討が必要と思われた.