抄録
異物として水酸化コロイド鉄をモルモット足蹠皮内に注入し,経時的に足蹠皮膚および膝窩リンパ節を摘出し,水酸化コロイド鉄粒子の動態を光顕および電顕により形態的に観察した.注入後2時間以内の早期に.は,コロイド鉄粒子は真皮内を拡散してゆくが,膠原線維間に浮遊状態で一様に存在するのではなく,おもに膠原線維束にそって沈着する.血管周囲では組織球および血管周囲細胞の小胞内,細胞膜表面,細胞間の無構造部に鉄粒子は認められる.2週以後では組織球によって取り込まれ,細胞内の小胞に密な穎粒状として存在する.細胞外には鉄粒子は,ほとんど認められなくなる.足跡に注入した鉄粒子は局所から膝窩部リンパ節に速いもので15分後に達する.局所真皮内のリンパ管内皮細胞の小胞内に鉄粒子は存在する.リンパ管内皮細胞間の接合部より,組織側から管腔内への鉄粒子の移入は明らかでない.また注入後2週目の試料において,毛細血管内皮細胞内の小胞内鉄粒子が血管腔へ排出されている像が認められた.