抄録
エリテマトーデス(LE)の皮疹部の真皮における血管の変化を,真皮上層と真皮中下層に分けて,電顕的に検索した.検索した皮疹は通常 LE でみられる皮疹で,明確な血管障害を背景として出現する指端壊死,下腿潰瘍,分枝状皮斑,静脈炎,紫斑等の皮疹は含まれていない,一般的形態学的所見として,以下の変化がみられた即ち,血管腔は開犬・狭小を示すものがある.内皮細胞は,ミトコソドリアや小胞体の開大がみられるもの,あるいは核が消失し,細胞内小器官・cytoplasmic filamentの 減少・空胞の出現等により染色性が低下しているものがみられた.後者の所見を内皮細胞の変性像と理解した.内皮細胞内に網状細管構造が認められた.内皮細胞間(接合)の離開や内皮細胞と壁との離開がみられ,これらは透過性充進を示唆する所見と解釈した.基底板は多層であり,大半は真っ直ぐに走行するが,内皮細胞が凹凸を示す部位で波状の走行を示しかっ短く切れていた.基底板間に惨出物質の沈着を認め,一部塊状となっており,高倍率で周期構造を認めた.壁が肥厚しているものもあった.上述の変化を,皮膚型 (Cutaneous LE, CLE) と全身型 (SLE) について比較検討した. CLEでは,真皮上層で内腔拡大傾向があり,透過性が充進し,内皮細胞の変性亀強い.中下層では内腔は狭小傾向となり,壁の肥厚がみられる,即ち上層で溶出性の変化を,中下層で肥厚性変化がみられる SLE では,全層を通して惨出性の変化が見られ,これは中下層の方が上層より強い.SLE と SLE の惨出性変化を比較すると CLE が SLE より障害か強い.各皮疹型に分けても検討した.各皮疹型に固有な反応形式はなく,惨出性紅斑で網状細管構造の出現が低い以外は,特別な差は認められなかった,