日本皮膚科学会雑誌
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91 巻, 4 号
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  • 池澤 善郎, 永井 隆吉
    1981 年 91 巻 4 号 p. 419-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    半合成の penicillin (PC) および cephalosporin (CS) 系薬剤に対する接触過敏症を誘導したモルモットに,感作薬剤と同一薬剤を体重 kg 当り1,000mg腹腔内注射することにより generalized rash(GR)を誘発することが出来た.この実験的薬疹と遅延型局所皮膚反応の関係を比較検討すると共に血中抗体についても検討した. 1) GR も,局所皮膚反応も,24時間ないし48時間後をピークとした遅延型過敏反応(DH)であるが,GR は誘発3時間後に出現するのに対し,貼布試験による接触過敏反応は誘発6時間後にも未だ出現しないという違いがみられた.皮内試験による浸潤を伴った紅斑反応も,同様に誘発6時間後には出現しなかったが,ほとんど浸潤を触れない淡い紅斑だけの反応は,誘発3時間後に既に出現しており,GR の出現時期に一致した 2) cephalothin-keyhole lympet hemocyanin (CETKLH) 感作モルモットにおける GR は,接触過敏反応や皮内反応と同様に担体特異性を示した. 3) GR の主な組織変化は,真皮上層の血管拡張を伴うリンパ球と好中球などからなる細胞浸潤であり,表皮の変化が軽度であることを除けぼ,基本的には接触過敏反応の組織と同じであった. 4) GR と接触過敏反応は,その強さの程度においては相関しなかった試薬剤間の交叉反応性においてはほぼ同様の成績を示した. PC および CS 系薬剤のアシル側鎖の構造は,抗ハプテン抗体に対する抗原決定基の重要な部分を構成するとされている.そのアシル側鎖の構造が全く異なる cephalothinとcefazolin の間において,GR と接触過敏反応が交叉反応したことは,アシル側鎖がこれらの免疫反応に対する抗原決定基の重要な部分を構成していないことを示している.従って,GR は,交叉反応性からみた抗原構造において,抗ハプテン抗体とは異なり,接触過敏反応に類似していることが考えられた. 5)間接血球凝集反応による抗ハプテソ抗体価は,sulbenicillin感作において最も高い値を示し,次ぎは,ampicillin 感作, benzylpenicillin 感作の順であった.しかしながら, cephalothin および cephalexin 感作においては,著明な GR が誘発されるにもかかわらず,抗ハプテン抗体は血中にほとんど認められなかった. 以上より,この実験的薬疹は,経時的変化,担体特異性,組織所見,交叉反応性および抗ハプテソ抗体価など多くの点で,薬剤に対する遅延型局所皮膚反応に一致しており,血中抗体よりは,むしろ細胞性免疫が重要な役割を果していることが考えられた. しかしながら,GR は,強さの程度において遅延型局所皮膚反応に相関せず,前者は後者の単なる全身的表現ではないと考えられ,両者の解離と Jones-Mote 型反応,ツペルクリソ型過敏反応との関連についても若干の考察を加えた.
  • 車谷 峰子, 馬場 俊一, 鈴木 啓之
    1981 年 91 巻 4 号 p. 433-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    石灰化上皮腫の腫瘍細胞を好塩基性細胞,移行細胞 I 型(好塩基性細胞に隣接した3つ目までの細胞),移行細胞皿型(陰影細胞に隣接した3つ目までの細胞)の3グループに分けて,形態計測的に検討した.次いで計測値を各グループ間で統計学的に検定した.形態計測的には好塩基性細胞が移行細胞I型,移行細胞 II 型と分化するにしたがい,核は小型となり,一方,核の単位面積当りに占めるヘテロクロマチンの面積は逆に増加した,そして細胞質の単位面積当りに占める張原線維の面積は増加し,幅の太い張原線維が多くなった.F 検定の結果,各グループ間において有意の差がみとめられた.本研究で明らかにされた腫瘍細胞の形態計測的有意差は細胞の分化に伴うタンパク合成などの変化を反映しているものと思われる.
  • 藤澤 重樹
    1981 年 91 巻 4 号 p. 439-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    13歳と3歳8ヵ月男子の無汗性外胚葉形成不全症(Anhidrotic ectodermal dysplasia: 以下A.E.D・と略す)の2例について発汗テストを含む種々の検査を行なった.その結果,1例は完全な無汗であったが,他の1例は僅かに発汗が認められた.両例とも lgE が高値で,アトピー性皮膚炎,惨出性中耳炎,萎縮性鼻炎,榎声,羞明があり,1例は心房中隔欠損症を合併していた. 1883年から1979年までに発表された種々様々な variant type のある A.E.D. 114例を考察して,本症を遺伝形式別に分類した.即ち, A.E.D.は, (1)定型的な症状をきたす伴性劣性遺伝性男子例. (2) (1)の完全症状あるいは部分症を呈して保因者に相当する女子例.(3)近親婚が遺伝的背景にある常染色体劣性遺伝性の症例. (4)有汗性外胚葉形成不全症 (Hidrotic ectodermal dysplasia) に似た症状を呈する常染色体優性遺伝性の症例と大きく4型に分類できた.自験例は共にA.E.D. の伴性劣性遺伝性男子型であり,その部分症を有する姉や母は A.E.D. の伴性劣性遺伝性女子型であると考えた.
  • 八木 茂
    1981 年 91 巻 4 号 p. 453-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    ヒトの腸性肢端皮膚炎の病態を解明すべくブタに亜鉛欠乏症の作成を試み,次の興味ある知見を得た.低亜鉛食飼料に Ca・フィチン酸を添加することによって高度の亜鉛吸収阻害状態を作成して始めて,臨床的にも組織学的に.も,腸性肢端皮膚炎類似の病変の惹起に成功した.皮膚病変出現時では低血清亜鉛であり,皮膚亜鉛含量は病巣部,非病巣部ともに極めて低値であり,皮疹の出現に機械的刺激の関与が重視された.脱毛は皮疹出現に遅れて認められた.亜鉛欠乏の症状として成長の抑制が顕著であった.上記腸性肢端皮膚炎様病変は亜鉛を添加することなく通常のブタ飼料に変更することによって,速やかに消失し,体重も増加し,血清・皮膚亜鉛値も正常範囲内に復することを明らかにした以上の結果から腸性肢端皮膚炎は亜鉛欠乏症に基づく病変であることを実験的に解明した.
  • 柳原 誠
    1981 年 91 巻 4 号 p. 463-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    高齢者の肛門・仙骨部にみられる過角化性色素斑を組織学的に検索し,皮疹部にアミロイドの沈着する症例を見い出した.アミロイドを見た症例は,① 臨床的には肛門・仙骨部に肛門を中心として放射状に延びる過角化性色素線条より成る汚褐色斑で,時に瘙痒を伴っていた.② 一般検査では,血清中の M 蛋白および尿中 Benee-Jones 蛋白陰性で,直腸にアミロノドの沈着をみなかった.③ 組織学的に,表真皮境界に刷毛で掃いたようなアミロイドの沈着をみたが,その量は少なく,毛包周囲に大随に,花弁状のアミロイドの沈着をみた.これらの症例は従来原発性皮膚アミロイドーシスには記載されていない新しい病型の疾患と考え,これに肛門・仙骨部皮膚アミロイドーシス (ano-sacral cutaneousamyloidosis)の名を提唱した.
  • 小川 喜美子
    1981 年 91 巻 4 号 p. 473-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    エリテマトーデス(LE)の皮疹部の真皮における血管の変化を,真皮上層と真皮中下層に分けて,電顕的に検索した.検索した皮疹は通常 LE でみられる皮疹で,明確な血管障害を背景として出現する指端壊死,下腿潰瘍,分枝状皮斑,静脈炎,紫斑等の皮疹は含まれていない,一般的形態学的所見として,以下の変化がみられた即ち,血管腔は開犬・狭小を示すものがある.内皮細胞は,ミトコソドリアや小胞体の開大がみられるもの,あるいは核が消失し,細胞内小器官・cytoplasmic filamentの 減少・空胞の出現等により染色性が低下しているものがみられた.後者の所見を内皮細胞の変性像と理解した.内皮細胞内に網状細管構造が認められた.内皮細胞間(接合)の離開や内皮細胞と壁との離開がみられ,これらは透過性充進を示唆する所見と解釈した.基底板は多層であり,大半は真っ直ぐに走行するが,内皮細胞が凹凸を示す部位で波状の走行を示しかっ短く切れていた.基底板間に惨出物質の沈着を認め,一部塊状となっており,高倍率で周期構造を認めた.壁が肥厚しているものもあった.上述の変化を,皮膚型 (Cutaneous LE, CLE) と全身型 (SLE) について比較検討した. CLEでは,真皮上層で内腔拡大傾向があり,透過性が充進し,内皮細胞の変性亀強い.中下層では内腔は狭小傾向となり,壁の肥厚がみられる,即ち上層で溶出性の変化を,中下層で肥厚性変化がみられる SLE では,全層を通して惨出性の変化が見られ,これは中下層の方が上層より強い.SLE と SLE の惨出性変化を比較すると CLE が SLE より障害か強い.各皮疹型に分けても検討した.各皮疹型に固有な反応形式はなく,惨出性紅斑で網状細管構造の出現が低い以外は,特別な差は認められなかった,
  • 具志堅 初男
    1981 年 91 巻 4 号 p. 487-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    乾癬患者における免疫現象を確認するために,血清免疫学的見地から皮疹の免疫組織学的所見と流血中の免疫グロブリンおよび補体系の変動について検討した.蛍光抗体法による検索では,乾癬の早期疹と完成された局面疹において角層部,特に microabscess に IgG , IgA , IgM の免疫グロブリンおよび Clq, C3c, C3a, C5 の補体成分,さらに properdin, glycin rich β-glycoprotein と secretory IgA (SIgA) の成分である secretorycomponent (S-component) および joining chain( J-chain) の沈着が認められた.早期疹と局面疹では著しい相違はなかったが,前者においては properdin が高率に検出されたことから alternate pathwayの関与が推定された. lgA については,その沈着部に S-component と J-chain がみられ,このものが SIgA であることを示唆していた.患者血清中の lgG 値は健康者に比べて低く(p>0.05),lgM は有意の差を示さなかったが, IgA は高値の傾向を示す症例があった.補体系では,CH5,はやや高く,C3c はやや低い症例があったか C3-activator, C4 は特徴を示さなかった.乾癬患者の体表面積に対して皮疹の占める面積を考慮すると,皮疹面積が大きい症例ほど補体価は高値を示す傾向があった.以上の乾癬皮疹部の免疫組織学的所見と血清中の免疫グロブリンおよび補体の変動を示す成績から,乾癬の病因に免疫現象が関与していると推定した.
  • 内藤 勝一, 森岡 真治, 小川 秀興
    1981 年 91 巻 4 号 p. 497-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    正常人皮膚を類天疱瘡患者水疱内容液と共に培養することにより in vivo 近似の Dermal-Epidermal Separation(DES) が高率に観察された.蛍光抗体法直接法により,培養切片上には基底膜領域に lgG の沈着が線状に認められ,又 DES 部では主に表皮側への沈着が観察された.一方,患者血清及びその γ-gl 分画によっては同様の lgG 沈着は認められたものの DES は惹起されなかった.
  • 1981 年 91 巻 4 号 p. 501-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
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