日本皮膚科学会雑誌
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アトピー性皮膚炎患者における異常皮膚反応のskin window 法による検討 -マクロファージ,好中球の遊走について-
武 誠
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1981 年 91 巻 6 号 p. 653-

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抄録

アトピー性皮膚炎(以下AD)患者の皮膚反応の異常を検索するために,皮膚での生理的食塩水(以下生食),compound 48/80(以下comp. 48/80) および house dust (以下HD)に対するマクロファージと好中球の遊走性を skin window 法を用いて検討し,以下の結果を得た, 1)AD 患者では健康人に比較し,生食と comp. 48/80 に対しては,マクロファージの遊走率の減少,換言すれば好中球の遊走率の増加が認められた. 2)健康人では生食に較べ comp. 48/80 における方が,マクロファージの遊走率の減少,換言すれば好中球の遊走率の増加が認められたが,AD 患者では生食と comp. 48/800 間のマクロファージと好中球の遊走率に差は認められなかった. 3)HD に対する即時型皮内反応陽性 AD 患者のうち HD 滴下により skin window 部に好酸球の道走が認められる AD 患者群では,好酸球の遊走が認められない AD 患者群に較べ,HD 滴下24時間後の skin window 部でのマクロファージの遊走率の増加が認められた.これらの結果より,AD 患者の皮膚の反応性が健康人のそれとは異なることと,即時型アレルギーの局所において好酸球とともにマクロファージが関与していることが示唆された.

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© 1981 日本皮膚科学会
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