ICR マウスを用いて DNFB 接触過敏症に及ぼす invivo と in vitro の MOPC 315 処理の効果を検討した. 1)塗布感作時または過敏反応誘発時の in vivo MOPC315 処理によって, DNFB 接触過敏症の増強がみられたが,感作前の in vivo MOPC 315 処理によってはみられなかった. 2) DNBSO3Na (DNBS) ないし DNP-modified syngeneicspleen cell(DNP-SC) の静注による tolerance の誘導時および誘導7日後に in vivo の MOPC 315 処理を行ったが,明瞭に tolerance をおさえる効果はみられなかった. 3)DNBS ないし DNP-SC の静注によって誘導された tolerant sc のトラソスファーによる抑制活性は,in vitro の MOPC 315 処理によって阻害された.このMOPC 315 による抑制活性の阻害作用は, DNP-BSA 結合羊赤血球によって吸収されることから, MOPC 315 の抗 DNP 抗体活性に関連していることが示された.しかしながら DNP-protein conjugate で BALB/c マウスを免疫して得た抗 DNP 抗体には, MOPC 315 とは異なり in vivo 処理による接触過敏症の増強効果も in vitro 処理による suppressor cell の抑制活性に及ぼす阻害効果もみられなかった. 4) DNP-SC によって誘導された suppressor cell の DNFB-immune lymph node cell に対する抑制活性は,in vitro MOPC 315処理によってm害された.そのため MOPC 315 が effectorphase に働く splenic suppressorcellの抑制活性を阻害することが示された. 以上の成績から in vivo MOPC 315 処理による DNFB 接触過敏症の増強は MOPC 315 により splenicsuppressorcell の抑制活性が阻害されるためと推察された.またこの suppressor cell の抑制活性に及ぼす MOPC 315 の阻害効果について suppressor T cell のi diotype と抗 idiotype に関する最近の知見をもとに若干の考察を加えた.
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