日本皮膚科学会雑誌
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Hydrocortisone 17-butyrate 21-propionate 外用剤の全身への影響 -0.12% Betamethasone 17-valerate 軟膏および0.1% Hydrocortisone 17-butyrate 軟膏との二重盲検法による比較- Hydrocortisone 17-butyrate 21-propionate外用剤の全身的影響研究班
武田 克之
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1982 年 92 巻 4 号 p. 503-

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抄録

0.1% Hydrocortisone 17-butyrate 21-propionate 軟膏(以下 HBP と略記)を成人乾孵患者に密封包帯 : occlusivedressing technique (以下 ODT と略記)で外用し,全身への影響と臨床効果について0.12% Betamethasone17-valerate 軟膏(以下 BV と略記)および 0.1% Hydrocortisone 17-butyrate 軟膏(以下 HB と略記)を対照薬剤に選び,二重盲検法により比較検討した.全身への影響は,血漿コルチゾール値,末梢好酸球数および血糖値の変動を指標とした. 成人乾癖患者の血漿コルチゾール値は, HBP 10g群では初期値に比較して有意には減少しなかったが, HB10g 群では軽度, BV lOg 群では著しい減少が認められた,また 30g 群の血漿コルチゾール値は,すべての群で初期値に対して有意に減少したが BV 30g 群の減少(特に初期値への回復の遅延)がめだった.なお,本試験における血漿コルチゾール値の変動は, Murphy'scompetitive protein binding assay(CPBA)とRadioim・munoassay (RIA) の両測定法で追求したが,ともに同様の傾向であった. 末梢好酸球数は, HBP 10g 群およびHB 10g 群では初期値に対してほとんど減少を認めなかったか, BV10g 群で ODT 終了後にやや減少した.また 30g 群の末梢好酸球数は,すべての群で初期値に対して有意に減少したか HBP 30g 群の減少がめだった. 血糖値は,すべての群で初期値に対して有意の変動はなかった. なお臨床効果は, lOg 群, 30g 群ともに HBP, BV,HB の間に有意差を認めなかった.

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© 1982 日本皮膚科学会
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