1982 年 92 巻 6 号 p. 657-
スキソーストリップ法によって採取した正常ヒト角層および乾癬鱗屑から, SDS, DTT, EDTA を含む抽出液によって抽出されるタンパクをラウリル硫酸ナトリウム-ポリアクりレアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって分析した.正常ヒト角層からは分子量 66,000 と 59,000 の2本のポリペプチドバンドが抽出された.一方,乾癬鱗屑からは SDS-PAGE 上常に一定のポリペプチドバンド(分子量68,000, 62,000, 59,000, 55,000, 53,000,49,000, 46,000, 30,000, 12,500の9本)が泳動され,urea-2ME を含む従来の抽出法によって抽出されるタンパク,すなわち,α-ケラチンのペプチドと比較したところ,一部のポリペプチドバンドは,α-ケラチンのバンド (分子量62,000, 59,000, 55,000, 53,000, 49,000の5本)と一致した.これらのポリペプチドバンドは病勢により量的に変動し,治癒時には正常ヒト角量におけるポリペプチドバンドと同一のパターンを示すのがみられた.