日本皮膚科学会雑誌
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紫外線紅斑におけるProstaglandinの挙動 -色素性乾皮症細胞を用いたin vitro 解析-
土屋 秀一芋川 玄爾市橋 正光藤原 美定
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1982 年 92 巻 8 号 p. 889-

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抄録

色素性乾皮症(XP)は DNA 損傷修復欠損度(unscheduled DNA synthesis,UDS)にかなり相関した最少紅斑量(MED)の低下を示すが,その機序は明らかではない.今回,正常および UDS 活性の異なる XP 由来線維芽細胞を用い,中波長紫外線(UVB)照射後,培養液中に遊離する prostaglandin (PG) E2, F2 の量および arachidonic acid の挙動より PG 代謝を追求し,各々の細胞が由来する患者の MED と対比解析した.その結果,① UVB を 0~0.15J/黴€3 照射し,24時間後に培養液 1ml 中に遊離するPGE,の radio immunoassay では,正常 : 0~20pg, XP 30KO (variant) : 20~30pg,XP 24KO (E群?) : 30~190pg, XP IIKO (A群) 70~200pg とほぼ UVB 領域での MED 低下と一致する傾向を認めた.② PGF2,についてもXP llKO (A群)で UVB による最も高い遊離を認めた.③UVB 照射後 indomethacin 添加培養液で培養すると.PGE2,PGF2αの遊離は完全に抑制された.④ PGE2,PGF2α の前駆体である 3H-arachidonic acid で細胞を標識し, UV-B 照射後培養液中に遊離する radio activity を薄層クロマトグラフィーにて解析した結果 radio im・munoassay の結果と一致して,由来 XP の MED 低下度とほぼ相関する遊離 radio activity の増大を PGE2,PGF2α分画で認めた.以上より XP の MED 低下に PG 代謝の関与が強く示唆された.

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© 1982 日本皮膚科学会
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