日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
自己免疫性溶血性貧血にクロモミコーシス,クリプトコックス髄膜炎,アルテルナリア皮下膿瘍を合併した一例
江川 政昭津島 弘文片岡 和洋矢村 卓三今中 文雄嶋本 文雄小田 咲子
著者情報
ジャーナル 認証あり

1982 年 92 巻 9 号 p. 965-

詳細
抄録

48歳,女,昭和55年4月より自己免疫性溶血性貧血の診断で当病院原医研内科に入院し,プレドエン,イムランの投与を受けていたが,昭和55年5月8日,右第Ⅲ指背側部に碗豆大の現状皮疹を主訴に当皮膚科に紹介され,尋常性疣贅の疑いでブレオマイシンの局注を受けるか軽快せず.昭和55年7月170,同部の生検を施行し,培養,組織学的検査でクロモミコーシスと診断し,起炎菌は Fonsecaea pedrosoi と同定された.生検後5日目頃より,髄膜炎症状が出現し,髄液の培養検査で Cryptococcus neoformans 陽性.7月24日より ,I AMPH,5FC の投与を開始し,クロモミコーシス,髄膜炎は軽快していたが,8月初句,右肘高の静注部位に一致して皮下膿瘍が出現.膿の培養検査にてアルテルナリア属菌陽性,切開排膿により軽快,治癒.一方,髄液の Cryptococcus は消失せず,55年10月下旬,意識障害があらわれ,やがて昏睡状態から55年11月11日死亡.

著者関連情報
© 1982 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top