日本皮膚科学会雑誌
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スタンプ蛍光法による悪性黒色腫の研究 -迅速かつ簡易メラニン産生能の証明法-
長島 典安
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1983 年 93 巻 11 号 p. 1149-

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抄録

蛍光法 (Falck & Hillarp) は黒色腫細胞のメラニン産生能の証明に有用な一方法であるが,手技が複雑であって,標本を作製するまでには比較的長時間を要するとの難点があった,この難点を解決すべくスタンプ蛍光法を開発した.すなわち,黒色腫病巣から作製したスタンプ・スメア標本をフォルムアルデヒド・ガスで10~20分間処理して,直ちに蛍光顕微鏡下に観察する方法で,所要時間は30分以内である.蛍光顕微鏡下では特異蛍光は黒色腫細胞の細胞質にほぼ限局して認められた. melanotic な黒色腫例ではいまだ成功率が高くなく,改善すべき余地が残されているが,診断に苦慮することが多い amelanotic な黒色腫例では,全例,特異蛍光を発する腫瘍細胞の存在を容易に確認しえた.以上の結果からスタンプ蛍光法は黒色腫細胞のメラニン産生能を迅速かつ簡易に証明しうる有力な一方法であると考えた.

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© 1983 日本皮膚科学会
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