抄録
扁平疣贅患者の末梢血リンパ球機能をリンパ球幼若化試験および Con A 誘導抑制細胞活性の面から検討し,次の結果をえた. 1)扁平抱贅患者においては Con A に対する応答低下がみられたが, 2)この応答低下は易治癒者で明瞭であり, 3)それも抱贅数の多い者に著明であった. 4)この応答低下は治癒後に,健康対照者の値に近似する程度まで回復した. 5)この傾向は Con A 誘導抑制細胞の ConA 刺激に対する抑制能においても認められた. リンパ球の Con A 応答低下, Con A 誘導抑制細胞活性低下は,細胞障害性/抑制 T 細胞数の減少によるとされている.したがって,扁平抱贅患者の易治癒者においては,治癒反応惹起前に,これら T 細胞が末梢血から所属リンパ節に動員されているものと推定した. なお,扁平抱贅の予後推定には,末梢血リンパ球の Con A を用いる上記機能検査が有用であることが示唆された.