日本皮膚科学会雑誌
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斑状アミロイド症にみられる線維芽細胞のエンドサイトーシス亢進 -電子顕微鏡的研究-
石井 正光寺尾 祐一浅井 芳江濱田 稔夫
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1983 年 93 巻 12 号 p. 1319-

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抄録
6例の斑状アミロイド症患者の皮疹を電顕的に観察し,線維芽細胞の種々の形態について検討した.光顕レベルでは貪食細胞と思われていた細胞の多くが線組芽細胞である事が判明した.すなわち,本症においては線組芽細胞の貪食能が充進して多量の滴落ノラノゾームを取り込んでおり光顕的には一見メラノファージ様に見える事が判った.線維芽細胞はさらに細長い細胞質突起を伸ばした先端で分岐してアミロイド塊をとりかこんだり,コラーゲンとアミロイドの間に選択的に突起を伸ばすなどの像をみせ,胞体内にはアミロイド様線維も存在するなど,高い貪食能亢進及びアミロイド貪食の可能性を思わせた.一方発達した粗面小胞体中には多量の蛋白物質を容れており,明らかな分泌能亢進をも示した.さらにこの高い細胞活性を有する線維芽細胞においてアミロイドの貪食又は分泌像を思わせる2,3の興味ある所見を示し議論を行なった.
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© 1983 日本皮膚科学会
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