日本皮膚科学会雑誌
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リポゾームを用いたハプテン結合表皮細胞抽出物による接触過敏症の検討 ハプテン結合表皮細胞抽出物を埋め込んだリボゾームによる感作リンパ節細胞のDNA合成の亢進
船井 龍彦
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1983 年 93 巻 6 号 p. 601-

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抄録

接触過敏症における表皮細胞膜蛋白の役割を解析するため,TNP 化マウス尾部表皮細胞を deoxycholate を用いて可溶化抽出し,抽出物を埋め込んだリボソームを調製し,TNP 感作リンパ節細胞に対する反応性を解析した.かかる TNP イヒ表皮細胞抽出物加人工膜は, viable TNP 化表皮細胞によると同程度の感作リンパ節細胞の DNA 合成亢進を惹起することができた.そしてこれらリボソームと感作リンパ節細胞との反応は,ハプテン特異性を示した.ついでマウス IgG 処理ペトリ皿を用いて表皮細胞を分画し,それぞれを TNP 化して抽出物を得て調製したリボソームを用いたところ,付着性表皮細胞の抽出物埋没リボソームにより有意な DNA 合成亢進が認められたが,非付着性表皮細胞成分では陰性であった.また紫外線照射後の表皮細胞で同様の実験を行ったところ,感作リンパ節細胞を刺激しなかった. 以上より,表皮細胞の抽出物を埋め込んだリボソームによって,感作リンパ節細胞を刺激することが可能であり,表皮細胞中マウス lgG 処理ペトリ皿に付着性で,且つ,紫外線感受性の表皮細胞,即ち,ラングルハンス細胞の TNP 化膜蛋白が感作リンパ節細胞との反応に重要な役割を果すことが考えられた.

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© 1983 日本皮膚科学会
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