日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
93 巻, 6 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 四本 秀昭, 下川 優子, 久留 博史, 田代 正昭
    1983 年 93 巻 6 号 p. 579-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    ポリエチレングリコール沈降物補体消費試験により, PSS 10例, Morphea 11例で Circulating ImmuneComplexes (CIC) を測定した. PSS では10例中3例で CIC 異常値を示し,本方法による CIC 値の平均は 9.4% であった.一方, Morphea では11例中2例で CIC が異常値を示し, CIC の平均値は 7.5% であった. PSS 患者10例の CIC 値と臨床症状,一般検査成績を検討したところ,相関する因子は見出せなかった,又,CIC の高かった1症例の血清を DNase で処理したところ CICの94% が消費されたことから,本症例では CIC のほとんどが DNA- 抗 DNA 抗体複合物であろうと考えられた. Morphea で CIC 異常値を示した2例は Generalizedmorphea と診断した症例であった. Generalizedmorphea では疾患活動性を考える上で CIC が一つの指標となると考えた.
  • 足立 功一, 金子 史男, 足立 柳理, 三浦 祐晶
    1983 年 93 巻 6 号 p. 585-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    ベーチェット病調査個大票をもとに1972年4月から1982年3月までの北海道におけるベーチェット病患者の実態調査を行なった. 1)北海道においては人口10万対有病率は12.7(患者数745大,男189大,女556大)で全国一の高い比率を示した.また地理的には全国的にみて北高南低の傾向がみられた. 2)北海道内の有病率分布は太平洋岸に面した地域に高い傾向がみられた. 3)患者数は1977年・から急激に増加しており,特に女性患者数が増加していた.年齢分布は男性は21歳から30歳台に,女性は31歳から50歳合に多く発生していた .4)臨床所見ではアフ列生円内炎(96.8%),外陰部潰瘍(77.5%),結節性紅斑様皮疹(73.1%)の三宝症状が高率にみられ,眼症状は特に男子において高率に発生していた. 5)針反応の陽性率は40.6%で,病型との間には相関はみられなかった.
  • 麻上 千鳥, 今村 隆志, 永井 純子, 久本 和夫, 白石 達雄, 西岡 和恵
    1983 年 93 巻 6 号 p. 591-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    D光顕的にアミロイド苔癬と診断された6症例の全例にリポ蛋白異常が検出された. 2)リポ蛋白 PAG 電気泳動法では6例中の3例は Ilb 型を,2例は III 型を,残りの1例は Ila 型をそれぞれ示した.III 型を示した1例を除き α-Lps は低下していた. 3) lib 型及び Ila 型を示した症例のアミロイド塊の中央部でのアミロイド細線維は幅が 60-85A とほぼ典型的であったが,辺縁の electron light parts では幅が I30-250A とやや大きい 4) electron light parts 内の幅 I30-250A の細線維は,膠原線維と近接して存在していたが, pre-collagenfibrils とは相違していた. 5) III 型で a-Lps の正常例ではアミロイド塊内の細線維は幅50A 台で Ilb 型あるいは Ila 型を示した他の5症例のアミロイド細線維よりも巾がやや細い傾向を示した. 6) Wright の過マソガソ酸カリ処理法によるアミロイドの生化学的同定では,過マソガソ酸カリ抵抗性で non-protein AA, protein AD 及び senile amyloid の可能性が残された.
  • 船井 龍彦
    1983 年 93 巻 6 号 p. 601-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    接触過敏症における表皮細胞膜蛋白の役割を解析するため,TNP 化マウス尾部表皮細胞を deoxycholate を用いて可溶化抽出し,抽出物を埋め込んだリボソームを調製し,TNP 感作リンパ節細胞に対する反応性を解析した.かかる TNP イヒ表皮細胞抽出物加人工膜は, viable TNP 化表皮細胞によると同程度の感作リンパ節細胞の DNA 合成亢進を惹起することができた.そしてこれらリボソームと感作リンパ節細胞との反応は,ハプテン特異性を示した.ついでマウス IgG 処理ペトリ皿を用いて表皮細胞を分画し,それぞれを TNP 化して抽出物を得て調製したリボソームを用いたところ,付着性表皮細胞の抽出物埋没リボソームにより有意な DNA 合成亢進が認められたが,非付着性表皮細胞成分では陰性であった.また紫外線照射後の表皮細胞で同様の実験を行ったところ,感作リンパ節細胞を刺激しなかった. 以上より,表皮細胞の抽出物を埋め込んだリボソームによって,感作リンパ節細胞を刺激することが可能であり,表皮細胞中マウス lgG 処理ペトリ皿に付着性で,且つ,紫外線感受性の表皮細胞,即ち,ラングルハンス細胞の TNP 化膜蛋白が感作リンパ節細胞との反応に重要な役割を果すことが考えられた.
  • 浦上 紘三
    1983 年 93 巻 6 号 p. 613-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    伝染性膿痂疹,櫛などの膿皮症,湿疹皮膚炎を中心とした膿皮症以外の諸種皮膚疾患,および喀痰,咽頭,扁桃などの体内病巣より黄色ブドウ球菌を分離した.これら黄色ブドウ球菌につき疾患群別にコアダラーゼ型別とファージ型別の様相を観察し,さらにコアグラーゼ型とファージ型の相関々係についても検討をおこなった.伝染性膿痂疹ではファージ II 群71型,コアグラーゼ V 型の黄色ブドウ球菌が多かったがファージ I- 雑群で80/81型もかなりの検出率を示しコアグラーゼ型では I 型が多かった.また湿疹皮膚炎群ではファージ III 群が多かったがコアグラーゼ型では特に優位をしめる型はみられなかった.体内病巣からの黄色ブドウ球菌ではファージ型,コアグラーゼ型ともに特に優位を示すものはみられなかった.また伝染性膿痂疹,dvを中心として分離ブドウ球菌の薬物感受性試験を検討した.さらにコアグラーゼ型とファージ型の薬剤感受性の関係についても考察を加え,コアグラーゼ I 型に V 型よりも感受性が一般に優れていることを認めた.
  • 堀啓 一郎, 三島 豊
    1983 年 93 巻 6 号 p. 629-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    転移性毛器官癌を電顕的に研究し漏斗部および毛鞘角化部の細胞分化形質を有することを見出し,これに一致する病理組織所見および臨床像と合わせ報告した.原発皮膚病巣は全体として多柱状,一部分岐状の腫瘍細胞巣より成り,毛器宮様構築を示す.その上方部の腫瘍細胞巣は著明な異型性を有する細胞より成るにも拘らず,外表に開く中心角化性漏斗様増殖パターンを示す.表皮がびらん欠存せず残存している部位ではこれを貫通する腫瘍巣を取り囲む表皮の開口部に漏斗壁様ケラトヒアリン顆粒細胞を認め得る.更にこれら腫瘍巣はしばしば squamous eddy を示す.上部より連続性に真皮深層にかけて浸潤増殖する細胞巣および転移巣を構成する腫瘍細胞は著明な異型値性を有するが,中心に移行するにっれ毛鞘角化に特徴的なケラトヒアリン顆粒層なしの突然性角質形成を顕著に示す.即ち超徴構造的にかかる既角化細胞は細胞間 desmosome とともに細胞内性 desmosome の遺残を桐密なケラチン線維閣に有する.なお此等細胞は lipid-likegranule も処々に有する.此等に接する前角化性腫瘍細胞は画然的に明るい原形質を有する大型異型細胞でグリコーゲン顆粒, tonofilament の乏しい desmosome を有するか,定型的ケラトヒアリン顆粒を欠き,稀に滴状ケラトヒアリンを見るのみである.以上,本腫瘍は毛器官漏斗部と毛鞘角化部に由来ないしはそれらの分化形質を有する infundibulo-trichilemmalcarcinoma と結論した.
  • 河野 多鶴子
    1983 年 93 巻 6 号 p. 643-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    当科で経験した女子顔面黒皮症について年次別初診症例数,発症年齢,臨床症状,組織所見,臨床経過などの統計的観察を行った.本症は1980年以降著しい減少をみている.年齢的には40歳代が最も多く以下30歳代,50歳代であった.最近の症例の色素沈着の型はびまん性が最も多く,以下網状,斑状,点状の順位で従前の報告に比しかなり多様であることが注目された.毛孔性角化丘疹は 16% のみにみとめられた,不適化粧品の使用中止後2年以内に多くの例が著しい軽快をみとめた.素因をしらべる目的で本症ならびに肝斑患者と健常者の内分泌機能を比較検討したところ,本症患者では健常者に比し血清 cortisol, 尿 170HCS, 尿 17KS, 血清 E1,E2,E3,T3,T4,RT3U 値の有意な低値をみとめた.他方血漿 AVTH,β-LPH 値は正常であり, LHRHtest の反応も正常であったが,5例における ACTH test では副腎皮質ホルモンの分泌能の低下,5例における TRH test では TSH 分泌の過剰遅延反応をみとめた.従って本症の素因の一部として甲状腺,副腎皮質,卵巣の機能低下が考えられた.
  • 服部 晃一郎
    1983 年 93 巻 6 号 p. 659-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    文献上でみると,砒素角化症は長い経過で Bowen 病へ移行するのが常である.現在までに砥素の変異原性を調べる実験もなされているが,実験腫瘍ができていないことがわれわれに発癌性の確証を与えない原因であろう. 癌原性芳香族炭化水素, 9,10-Dimethyl-1 ,2-benzanthracene で initiation (前処置, DNA の損傷)を施した C57BL/ 6 マウスに 0.02% As2O3 水溶液を2年間継続投与すると丘疹状角化腫ができる.この組織像は人体にみる砒素角化症に近い.暗調細胞がでてくるが,これは, Slaga らにより表皮細胞の転換 (conversion) の本態であるとみなされている. 次に,末処置マウスを同じ水溶液で2年間飼育すると,有無細胞の核小体とケラトヒアリン顆粒の中に類似した多数の高電子密度の顆粒が見出されることがある.生化学的な資料が無いが,枇素が rRNA のプロセシング過程にある粒子に何らかの変化を与え,それが緩徐な発癌促進作用と関連があるのではなかろうかと推察した.
  • 新井 裕子
    1983 年 93 巻 6 号 p. 671-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    当教室における Mycobacterium (以下M.) marinum 皮膚感染症12例の分離菌株を用いて,硫酸アミカシンの M. marinum に対する最小阻止濃度(MIC)を測定した .MICは12株中,10株が 0.78mcg/ml~1.56mcg/ml であった.以上より,硫酸アミカシンの M.marinum 皮膚感染症に対する有効性が示唆された.
  • 1983 年 93 巻 6 号 p. 673-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
feedback
Top