乾癬患者にレチノイド(Ro-10-9359,日本ロシュ)を投与し,経時的に末梢血白血球の遊走能の測定を行なった.その結果,投与後,皮疹の改善と共に,遊走能の低下が認められた.また,投与を中止すると上昇傾向を示し,そのうち大幅な上昇を示した例では皮疹の再燃傾向が認められた.一方,in-vitroにおいて,多核白血球と遊走因子との結合にレチノイドは抑制的に働き,さらにレチノイドを除くと結合の回腹傾向が認められた.この臨床結果とin-vitroでの実験から,レチノイドは白血球に対して直接的に運動能を抑制すると共に,白血球膜上での遊走因子との結合をレチノイドが抑制する可能性もあると考えた.