日本皮膚科学会雑誌
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真皮メラニン顆粒除去の試み
竹松 英明加藤 泰三
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1984 年 94 巻 14 号 p. 1599-

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抄録

組織学的色素失調状態におけるメラニン顆粒の真皮内での動態をとらえ,真皮内よりメラニン顆粒を除去するために,以下の2つの実験を試みた.まず,メラニン顆粒の真皮内動態は,放射性同位元素で標識したマウス・メラノーマ由来のメラノソームをモルモット真皮内に注入し,その部位の放射活性を測定し,真皮内での消失過程をみた.また,標識メラノソームの注入と同時に,マクロファージに対し毒性のあるカラゲナンをモルモット腹腔内に注入すると,真皮内からのメラノソームの除去が抑制された.一方,局所にマクロファージを集積させるため,標識メラノソーム注入後2週間目に,DNCBによる遅延型接触過敏反応をおこさせると,コントロールと比較し,メラニンの除去が促進されたが,7日目で約28%の減少をおこすのにとどまった.さらに,真皮メラノファージをより特異的に攻撃し,メラニン顆粒を細胞外に放出させ,リンパ管系にのせて運搬させるため,抗マクロファージ抗血清を作製し,メラノソーム注入2週間後の上記実験的組織学的色素失調部位に注入した.これにより強い炎症反応は誘導されたが,メラニン顆粒の真皮からの消失は.PBS注入部あるいは無処置部と比較しても有意な促進効果は認められなかった.

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© 1984 日本皮膚科学会
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