乾癬における末梢血T細胞機能の解析のため,T細胞のhelper活性,suppressor活性を検索し,以下の結果を得た.1)PWM剌激によるin vitro Ig産生ではT細胞過剰(T細胞/non-T細胞比が2~3以上)によるin vitro Ig産生の抑制が乾癬患者群で減弱していた.特にIgA産生はT細胞の増加にしたがって直線的に増加した.急性群と慢性群を比較すると,急性群でT細胞過剰によるin vitro Ig産生の抑制がより著明に減弱していた.汎発群と限局群の間に差はなかった.2)ConA誘導suppressor活性は乾癬群に軽度の減弱がみられたが有意な差ではなかった.急性群と慢性群,汎発群と限局群の間に差はなかった.3)AMLR(3日培養)によって誘導されたT細胞helper活性は乾癬群に有意な亢進がみられた.急性群と慢性群,汎発群と限局群の間に差はなかった.IgG系とIgA系の間に差はなかった.4)AMLR(7日培養)によって誘導されたT細胞suppressor活性は乾癬群全体では対照群と有意差はなかったが,急性群は有意な減弱を示した.汎発群と限局群の間に差はなかった.IgG系とIgA系の間に差はなかった.以上の結果より乾癬においてはAMLRによって活性化されるhelper細胞の機能亢進があり,特に急性群ではT細胞過剰やAMLRによって誘導されるsuppressor活性の障害されていることが示唆された.すなわち乾癬の発症初期や急性増悪期にはT細胞のhelper活性亢進とsuppressor活性低下が出現し.Ig産生の亢進等がひきおこされるが,病巣の拡大のない時期にはsuppressor活性が正常になり,全体としてhelper活性も正常になると考えられる.
抄録全体を表示