日本皮膚科学会雑誌
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正常表皮ケラチノサイト内DeoxyribonucleaseⅠ(DnaseⅠ)ならびにRibonuclease A(RNase A)の局在に関する免疫組織化学的検討
野原 正
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1984 年 94 巻 2 号 p. 137-

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抄録

表皮ケラチノサイトの角化過程および核消失における核酸分解酵素の局在を免疫組織化学(酵素抗体法)を用いて検討した.材料はヒト正常皮膚とウシの鼻の皮膚を用い,抗血清の作製には抗原としてウシ膵由来DeoxyribonucleaseⅠ(DnaseⅠ)とRibonucleaseA(RNaseA)を用いた.その結果,DNase,RNaseは核に一致して認められ,角化とともに増加,顆粒層で最も明瞭となるが角層にも認められた.RNaseは顆粒層では細胞質にも認められた.ケラチノサイトの角化に伴って,核内DNA,RNAは減少してゆくと考えられるが,DNaseとRNaseの増加はこれと逆相関することが明らかとなった.DNaseとRNaseが顆粒層で極に達すると同時に核は消失するが,DNase,RNaseは核を失った角層細胞内に残存することも明らかとなった.このように核消失の過程ではDNase,RNaseによる核酸分解の亢進が重要と思われる.

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© 1984 日本皮膚科学会
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