抄録
染色体異常を伴った疣贅様表皮発育異常症の1例について報告した.患者は32歳の男性で,9歳頃より疣贅様皮疹を手背,足背,胸部,背部等に生じた.22歳頃から右額部に腫瘍を生じ,徐々に増大した.疣贅様皮疹の病理組織像では,いわゆる澄明変性細胞がみられ,電顕では,直径35~45nmのウイルス様粒子が結晶様構造を呈して,核内或いは細胞質内に存在した.右額部の腫瘍はBowen病の組織像であった.本症例は血族結婚,家族内発症等の家族歴はないが,D群15ptの染色体異常が認められた.すなわちQ染色体による蛍光の強度とその大きさ,間期細胞核での動態およびdistamycin A処理による反応等の所見から,No.15短腕の過剰部はY染色体長腕の一部が転座したものと考えられた.しかし,本疾患における発癌と染色体異常との関連は,この症例では何も結論づけることはできず,今後同様の症例についての検索が望まれた.