日本皮膚科学会雑誌
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Mucinosis Follicularisにおける特発型と菌状息肉症を合併した症候型との比較について―組織浸潤リンパ球subsetの検討を含めて―
須藤 成章高橋 省三池田 和夫五十嵐 良一諸橋 正昭
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1984 年 94 巻 6 号 p. 681-

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抄録

菌状息肉症に合併した症候型と特発型の2例のmucinosis follicularisについて臨床的,病理組織学的,電顕的,免疫組織学的比較を行なった.臨床的には前者は頭部の広範な脱毛斑と体幹を中心として浸潤性紅斑と面皰の多発がみられた.後者では単発性の小紅斑のみであった.病理組織学的には両者とも空胞化した毛嚢の変性像とムチン様物質の沈着および毛嚢と真皮へのリンパ球を中心とした細胞浸潤がみられた.酵素組織化学反応では両者とも毛嚢にみられたムチン様物質はヒアルロン酸が主体と思われた.電顕的には前者の密に浸潤したリンパ球には特有な核の切れ込みと有するものが多かったが,後者でも時々異型性のあるリンパ球が認められた.両者とも毛嚢脱脂腺系細胞の空胞変性と細胞開大とムチン様物質の出現もみられた.モノクローナル抗体を使用した浸潤リンパ球の解析では前者では浸潤細胞の大部分はOKT3(pan T cell)とOKT4(helper/inducer T cell)に陽性を示した.後者では浸潤リンパ球はOKT3で大部分陽性を示したが,そのうちOKT4陽性細胞とOKT8(suppressor/cytotoxic T cell)陽性細胞はほぼ同数であった.以上より両者には幾つかの相違が認められたが,特にモノクローナル抗体を使用したリンパ球subsetの解析は両者の鑑別に今後試みられてよい方法と思われた.

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© 1984 日本皮膚科学会
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