日本皮膚科学会雑誌
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陰部Paget病におけるCarcinoembryonic antigen
大路 昌孝古江 増隆玉置 邦彦
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1985 年 95 巻 11 号 p. 1135-

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抄録

陰部Paget病(P病)15例について,免疫組織学的にPaget細胞(P細胞)におけるCarcinoembryonic antigen(CEA)の存在を検索するとともに血清CEA値を検討した.転移巣のみ検索した2例を含め全例においてP細胞は原発巣,転移巣ともにCEA陽性所見を呈した.血清CEA値は15例中4例に上昇を認め,全例とも広範な転移が明らか,ないし強く疑われた症例であった.上昇例では転移の拡大に従って血清CEA値も上昇する傾向が認められた.血清CEA値の上昇が認められない他の11例は,転移がないと考えられる症例,ないしは組織学的に小リンパ節1コのみに転移の認められた症例であった.つまりP病における血清CEA値はP病がある程度広範な転移をきたした際に上昇を示し,転移の拡大に従って上昇していくと考えられた.また,手術療法や化学療法により血清CEA値の低下した症例も存在し,血清CEA値が治療効果をも反映している可能性が示唆された.我々はP細胞がCEA産生分泌能を持ち,転移後もその産生分泌能を保持し続けるため,P病の病巣の拡大が血清CEA値に影響を及ぼし,逆に血清CEA値が病巣の増減を反映すると推論した.したがって血清CEA値はP病において転移,治療効果等をみる上で有効なsystemic marker(腫瘍マーカー)となりえると考えた.また対照として検索した表皮細胞由来と考えられる腫瘍群および正常表皮細胞においてCEAは陰性であったことより,P細胞は表皮細胞由来ではなく汗腺系細胞由来である可能性が強いと考えられた.

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