日本皮膚科学会雑誌
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抗毛ケラチン単クローン抗体(HKN―2)による正常ヒト皮膚の免疫組織化学的研究
田沢 敏男
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1985 年 95 巻 2 号 p. 157-

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抄録

hair fibrous protein(HFP)に対する単クローン抗体(HNK-2)を作製した.HNK-2は,immunoblot analysisによりHFPの72K,63K,epidermal fibrous protein(EFP)の56.5K,55Kのポリペプタイドを認識していることがわかった.HNK-2を用いた免疫電顕法では,表皮および毛皮質の張原線維が特異的に染色された.蛍光抗体法所見より,HNK-2は表皮,毛皮質,内毛根鞘などの皮膚角化性上皮に共通して,それらの母細胞は認識せず,より角化過程の進んだ細胞を認識することがわかった.これに関連して外毛根鞘における角化過程を推測し,外毛根鞘最内層細胞の特異性が示唆された.また,脂腺,汗腺もHNK-2により認識されるが,汗腺においては導管,筋上皮細胞がHNK-2陽性で,それらのfibrous proteinは抗原性において腺細胞のそれとは異ることが示唆された.角化過程において分化したケラチン線維を認識する単クローン抗体(HNK-2)により,皮膚の各上皮組織ケラチン線維の特異性が明らかとなった.

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© 1985 日本皮膚科学会
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