1985 年 95 巻 2 号 p. 99-
皮膚感染病巣より分離された黄色ブドウ球菌153株についてファージ型別とコアグラーゼ型別を行い,各種疾患との相関ならびに12種類の抗生物質に対する感受性の相違について検討した.なかでも伝染性膿痂疹とS.S.S.S.については1974年の当科における成績と比較検討した.毛包炎,dv,よう,汗腺膿瘍,蜂窩織炎等の膿皮症からはファージ80型,コアグラーゼⅣ型が多く,湿疹等の二次感染巣からはファージⅢ群,コアグラーゼⅣ型がやや優位であったがいくつかの群,型に分散する傾向がみられた.伝染性膿痂疹は1974年と今回はほぼ同様の成績であり,ファージ71型,コアグラーゼⅤ型が圧倒的に多数であった.しかしS.S.S.S.は1974年は伝染性膿痂疹と同様ファージ71型,コアグラーゼⅤ型が最多数であったが,今回はファージ型に共通性はみられずコアグラーゼ型では半数がⅠ型であった.抗生物質感受性はファージ群別ではⅡ群の感受性が良く,Ⅰ群なかでも80型は多剤耐性であり感受性は悪かった.コアグラーゼ型別ではⅣ型が多剤耐性であったが,Ⅴ型はEMを除く薬剤に対して全株平均値より良好の感受性を有していた.