抄録
肉芽腫様隆起病巣を伴った悪性黒色腫2例を被験材料とし,通常の細胞診によって標本を作製し,formaldehyde gas処理を行い,直ちに蛍光顕微鏡下に観察し,次の興味ある知見をえた.1)病巣割面からのスタンプ蛍光法が手術時の迅速診断法になりうること,2)肉芽腫様病巣であれば病巣表面からのスタンプ蛍光法が黒色腫の術前の確定診断に有用であること,3)非潰瘍性病巣でも手術直前の穿刺吸引法に対する蛍光法が黒色腫の診断に役立ちうること,4)本法の手技は簡易で,結果をうるまでの所要時間はいずれの標本でも約30分以内であったことなどである.