日本皮膚科学会雑誌
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単色光照射で作用波長を明らかにしえた種痘様水疱症の1例
国枝 美穂子佐藤 健二早川 和子喜多野 征夫
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1985 年 95 巻 8 号 p. 893-

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抄録

4歳女児.Hydroa vacciniforme(HV)の1例を報告した.日本分光工業製CRM-FM型回折格子照射分光器を用いた水疱誘発試験では,330nmの光(1回照射量:1.49×104J/m2)を3回,360nmの光(1回照射量:2.2×104J/m2あるいは,4.4×104J/m2)を4回あるいは2回照射後に,中心臍窩を有する小水疱が出現し,黒色痂皮を形成した後に瘢痕治癒した.300,310,375,390nmの照射では,誘発試験陰性であった.単色光照射誘発水疱と日光照射誘発水疱は,臨床形態,経過,病理組織所見が同一であり,誘発エネルギーも近い値を示した.又,380nmより短波長の紫外線を遮断する遮光クリームを塗布後,日光照射を行うと,HVの皮疹は,生じなかった.以上よりHVの作用波長は,330nm近くにピークをもつ315~375nm付近の紫外線であると考えられた.

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© 1985 日本皮膚科学会
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