1986 年 96 巻 12 号 p. 1209-
症例は,0歳,女児.生下時,両手背のびらん,四肢,口腔内に水疱を認め,組織学的に表皮下の水疱形成がみられ,電顕的にはbasal lamina下の水疱を認め,水疱部,非水泡部共にanchoring fibrilがほとんど認められなかった.基底細胞および真皮内膠原線維には変化を認めなかった.しかし,水疱は,生後1ヵ月以降には,まったく発生しなくなり,水疱部も瘢痕形成せずに治癒した.自験例は,最近,Hashimotoらが報告したTransient bullous dermolysis of the newbornの範疇にはいる症例と考え,その位置づけおよび病因について考察した.