抄録
制癌剤の悪性腫瘍に対する制癌効果の増強の目的でbleomycinをliposomeに封入して担Sq-16マウスに腹腔内投与し,非封入bleomycinの制癌効果と比較検討した.その結果,bleomycinはliposomeに封入されることによりSq-16移植部における固型腫瘍の増殖抑制効果は増強され,それに伴い生存日数も延長された.これらの効果は総投与量は同一でも分割して投与回数を多くするほど顕著に認められた.移植部腫瘍内のbleomycin濃度の測定結果より,移植部腫瘍増殖抑制効果と生存日数の延長はliposome内に封入されたbleomycinの徐放性に基づくものと考えられた.また移植部固型腫瘍の外科的摘出後のbleomycin封入liposomeの投与により,リンパ節転移巣の腫瘍増殖抑制によると思われる延命効果が認められたが,これはbleomycinのliposome内封入化によるbleomycinのリンパ節内への取り込みの増加と薬剤の徐放性によるものと考えられた.