日本皮膚科学会雑誌
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静脈うっ滞によると思われる下腿の皮下脂肪織炎
木村 孔右石橋 明
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1986 年 96 巻 2 号 p. 109-

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抄録
最近,我々は静脈瘤を伴う下腿片側に,下床と非可動性の圧痛を有する大きな板状硬結を来たした2例の中年者(44歳女,40歳男)を経験した.病理組織学的には,皮下脂肪組織に血管の肥厚,狭窄,脂肪壊死,泡沫細胞の出現,隔壁部の血管増生を伴う線維増生,軽度の細胞浸潤がみられる.Weber-Christian病,Rothmann-Makai症候群,結節性紅斑,硬結性紅斑,血栓性静脈炎,ステロイド後脂肪織炎などと臨床的あるいは組織学的に異なっており,静脈瘤に基因する循環障害から生じる脂肪細胞壊死に始まる病態と推測される.静脈瘤症候群に含めうるものと思われるが,かかる一見結節性紅斑~硬結性紅斑様の皮下脂肪織炎は静脈瘤症候群としては明確に認識記載されていないので報告した.
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© 1986 日本皮膚科学会
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