日本皮膚科学会雑誌
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マウス接触皮膚炎反応に関与するT細胞の胸腺依存性の違い
四本 秀昭田代 正昭
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1986 年 96 巻 2 号 p. 113-

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抄録

いろいろなT細胞亜集団の機能が出現するためには,それぞれ生後一定期間生体内に胸腺が存在することが必要であると報告されている.我々は新生仔期に胸腺を抽出したマウスでpicryl chlorideによる接触皮膚炎を調査し,反応に関与するいくつかの細胞群の胸腺の時間的依存性を検討した.生後1日目に胸腺を摘出した(Tx 1)マウスでは接触皮膚炎は認められず,生後3日目に胸腺を摘出した(Tx 3)マウスでは弱いながらも反応が認められた.この現象は胸腺摘出により表皮細胞の抗原提示能に差が生じたり,接触皮膚炎の抑制機構が作動したために生じたのではなく,エフェクター細胞又はヘルパーT細胞が機能するためには生後3日間は生体内に胸腺が存在することが必要なことを明らかにした.TNBS静注で作動する抑制機構はTx 3マウスから認められたが,抗原の過剰投与でみられる抑制機構は生後7日目に胸腺を摘出したマウスで認められ,picryl chloride接触皮膚炎の抑制に関与するこれらの細胞はそれぞれ胸腺の時間的依存性が異なることが明らかとなった.

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© 1986 日本皮膚科学会
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