比較的稀な立毛筋母斑の1例を経験し,本例および正常立毛筋に対して細胞骨格を構成する中間径フィラメントのデスミン,ビメンチンやミクロフィラメントのアクチンらの免疫活性をPAP法で検討した.立毛筋母斑を構成する平滑筋束は正常立毛筋と同様にデスミンとアクチンに陽性を示したがビメンチンには陰性であった.一方,血管平滑筋はビメンチンに対する反応性が立毛筋とは異なった.これらのことより立毛筋母斑の平滑筋束は正常立毛筋と同程度に分化・成熟した組織と考えた.さらに,同じ平滑筋群である立毛筋と血管平滑筋の間にも分化程度に差を認めた.病名としては本症は明らかに立毛筋への分化を示しているので立毛筋母斑が適切と考えた.