掌蹠にみられる色素斑について臨床病理学的検討を行なった.調査対象は349名に及び健康人対照群,非悪性腫瘍群,悪性腫瘍群の3群にわけ比較検討した.その結果単なる老人性変化ではないと考えられた.薬剤との関連性を検討したが,薬疹の可能性は否定的であった.皮疹の分布傾向には有意の差がみられ,悪性腫瘍群では他と比べ男女とも手掌ならびに足蹠に広範な分布を示した.本症は単に掌蹠に生じた老人性色素斑とするよりは,健康人にも存在するが内臓疾患にともなっておこりうることが推測された.病理組織所見としては,基底層主としてcrista profunda intermediaにメラニン沈着の増加と軽度のメラノサイトの増加がみられた.