Dermatofibrosarcoma Protuberans(以下DFSPと略す)の2症例につき腫瘍部皮膚組織の細胞培養を行った.また対照として健常部皮膚真皮より線維芽細胞を培養し,両症例腫瘍部由来細胞との比較を行った.腫瘍部由来増殖細胞は2例とも,対照細胞と明らかに異なる組織球様の形態が見られた.酵素組織化学的検討で腫瘍部由来細胞はAcid phosphataseとEsterase染色陽性で,電顕によりバーベック様の顆粒と細胞質内にPeroxidase陽性顆粒を認めた.腫瘍部由来細胞は,StaphylococcusおよびCandida菌を用いた免疫貪食能試験で明らかな陽性を示した.またrosette法による細胞膜receptor検討で腫瘍部由来細胞にFc receptorおよびC3b receptorを保有する細胞がみられた.モノクローナル抗体(Mo2)による免疫組織学的な検索でmacrophageと共通する膜抗原が腫瘍部由来細胞に認められた.〔3H-〕thymidineの取り込みによるautoradiographyとscintillationcounterによる測定で,腫瘍部由来細胞は対照細胞と比較して,細胞密度が一定数に達すると急激に増殖能が低下するという強い接触抑制作用を示した.また〔3H-〕prolineを取り込ませてのcollagen合成能試験で,腫瘍部由来細胞は組織球の性質を持ちつつ,線維芽細胞とほぼ同程度のcollagen産生能を保有していた.
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