日本皮膚科学会雑誌
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光毒反応物質の補体に及ぼす影響 Ⅰ)metal halide lamp照射によるhematoporphyrinの血清補体系に及ぼす影響について
大神 太郎
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1987 年 97 巻 7 号 p. 821-

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抄録

400nm付近の光線を大量に放射するmetal halide lamp(MHL)とhematoporphyrin(HP)を用い,以下の検討を試みた.①正常ヒト血清,②モルモット血清,③モルモット血清+hematoporphyrin(HP),④皮膚ポルフィリン症患者血清,⑤HP腹腔注モルモット血清,これら5種のサンプルに対して,MHL照射前後の補体溶血活性の変動を観察した.その結果,正常ヒト血清,無処置および無添加モルモット血清では,MHLを21J/cm2照射しても,照射前後で補体溶血活性に変化はなかった.一方,HPを最終濃度1.0μg/mlとなるように添加したモルモット血清では,MHLの照射エネルギー量に比例した補体溶血活性低下を示し,最終濃度3.0μg/ml以上のHP添加では1.56J/cm2の照射により10%以下の溶血活性しか残らなかった.また,12mg/kgのHPを腹腔内に注入し,2時間後に採取した血清にMHLを照射すると約43%の溶血活性低下がみられた.さらにEPP・PCT患者血清においても,MHL照射で50%以上の補体溶血活性低下をみた.以上の結果より,ポルフィリン体を含むヒトおよびモルモット結成にMHL照射を行なうと,その補体溶血活性の低下を来すことが明らかとなった.

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© 1987 日本皮膚科学会
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