日本皮膚科学会雑誌
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97 巻, 7 号
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  • 石田 明美, 広川 政己, 荒 政明, 渡辺 信, 松本 光博, 飯塚 一, 熊切 正信
    1987 年 97 巻 7 号 p. 785-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    比較的稀な遺伝性の角化異常症である.progressive erythrokeratodermiaについて電顕的・生化学的検討を行った.組織学的に核の遺残を伴う角質肥厚と顆粒層の肥厚があり,電顕的には層板顆粒の増加,toransitional cellの層状の介在が特徴的であった.Etretinate内服後では,角層・顆粒層の肥厚は見られず,toransitional cellは少なく,層板顆粒はよりいっそう増加していた.角層ケラチンの電気泳動では,正常人と比較してバンドの相対的な濃度に一部差が見られたが異常なバンドの出現や欠損は認められなかった.また,乾癬において認められているような皮疹部・無疹部間のepinephrineによる表皮のcyclic AMPの上昇作用の差は見られなかった.
  • 花田 裕子, 森嶋 隆文
    1987 年 97 巻 7 号 p. 793-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    血液透析患者110名中4名にKyrle病様病変,1名に毛孔性扁平苔癬が認められた.これら症例で特異なことはKyrle病様病変4例中3例に棘状苔癬の併発がみられたことと,1例に組織学的にアミロイド沈着を証しえたことである.これら毛孔性角化症の発症に微量金属,とくにAlのtransfollicular eliminationおよび高ビタミンA血症の関与を想定し,血液透析群と健常対照群,さらに透析群を毛孔性皮疹(+)群と(-)群とに分け,これらの値について比較検討した.その結果,透析患者群の血清Al値および血清ビタミンA値はいずれも健常対照群に対して有意の高値(p<0.01)であったが,皮疹(+)群と(-)群との間に有意の差はなかった.毛髪中微量金属に関し,Feを除いて透析患者群ではAl,Zn,Se,Hg(p<0.01),Cu(p<0.05)で有意の高値を示した.皮疹(+)群ではAlが有意の高値(p<0.01)を示し,Zn,Cu,Se,Hgでは(-)群との間に有意差を認めなかった.以上の結果から,血液透析患者にみられる毛孔性角化症の発症にAlの体内の蓄積が関与しているものと想像されるが,いまだ推測の域を出ない.
  • 入船 弘子
    1987 年 97 巻 7 号 p. 801-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    化学物質によって誘発されるポルフィリン代謝異常が可逆性であるか否かを検討するため,dd-K系マウスに0.5%griseofulvin(GF)含有飼料を与え,protoporphyriaを誘導,この代謝異常がGF投与中止によりどのように変化するかを調べた.0.5%GF含有飼料36日間投与で血液中porphyrin体(P),肝臓Pはいずれも著増し,いわゆるGF-induced protoporphyriaを誘導することができた.GF中止後,血液中Pが約1ヵ月で正常値に回復するのに比べ,肝臓Pは1~2ヵ月を経ても異常高値を示した.血液中Pの増加が肝臓からのoverflowによって起こるものとすれば,この血液中Pおよび肝臓Pの変動上の解離現象がいかなる機序によって生ずるのかを明らかにする必要があると思われた.
  • 佐伯 紀孝, 権東 明, 宮野 径彰, 小林 早由美, 大屋 尚之, 徳田 安章
    1987 年 97 巻 7 号 p. 805-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    健康成人100例及びアトピー性皮膚炎患者150例のRIST,RAST法による血清IgE値及びELISA法によるIgG2,IgG4値について厳密な検討を施した.その結果,健康成人の血清総合IgE値の平均は,36IU/mlと本邦における各検査施設の正常値より大幅に低値を示した.抗原特異IgE値は,ハウスダスト,ダニなどの吸入抗原,牛乳,卵白などの食餌抗原において健常成人ではすべて0.34PRU/ml以下を示したが,アトピー性皮膚炎患者ではその主要抗原と考えられているダニの特異IgE値の平均が8.32PRU/mlと著明な高値を示した.アトピー性皮膚炎患者のIgG4値は健常成人に比べ有意に高値を示したが,IgG2値は両者の間に有意差を認めなかった.
  • 坪井 良治
    1987 年 97 巻 7 号 p. 813-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    表皮細胞の代表的腫瘍である有棘細胞癌(SCC)11例,基底細胞上皮腫(BCE)4例,脂漏性角化症(SK)6例を試料に選び,各種proteinases活性と腫瘍の組織侵襲性との相関について検討した.外科的手術より得られた各種腫瘍塊より抽出液を各々調整し,cathepsin BおよびD,plasminogen activator,typeⅠおよびⅣ collagenaseなどのproteinases活性とesteraseであるacid phosphatase活性を測定し,mg proteinおよびμg DNAあたりを基準とした比較検討した.acid phosphatase,cathepsin D活性に差異は認められなかったが,type Ⅰ collagenase活性は,SCCはSKの9倍(p<0.001),BCEはSKの4.3倍(0.05<p<0.1)の値を示し,有意差が認められた.表皮と真皮間部および血管系の基底膜collagenを分解するtype Ⅳ collagenase活性はSCCで高値を示した(0.05<p<0.10).cathepsin B,plasminogen activator活性もSCC,BCK,SKの順に高い値を示したが,collagenaseほどの差異は認められなかった.さらにSCCを癌細胞の分化度により分類すると,未分化な腫瘍ほどcathepsin B,plasminogen activator,type Ⅰ collagenase活性が高い傾向が認められた.これら悪性腫瘍で高値を示した細胞内proteinases活性は,癌細胞内の代謝に関与しているだけでなく,癌細胞周囲とくに基底膜部(表皮-真皮間)や真皮結合織および血管壁などに存在するcollagenを主とするタンパク質構築を分解することにより,腫瘍の組織侵襲性や転移能に深く関与していることが示唆された.
  • 大神 太郎
    1987 年 97 巻 7 号 p. 821-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
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    400nm付近の光線を大量に放射するmetal halide lamp(MHL)とhematoporphyrin(HP)を用い,以下の検討を試みた.①正常ヒト血清,②モルモット血清,③モルモット血清+hematoporphyrin(HP),④皮膚ポルフィリン症患者血清,⑤HP腹腔注モルモット血清,これら5種のサンプルに対して,MHL照射前後の補体溶血活性の変動を観察した.その結果,正常ヒト血清,無処置および無添加モルモット血清では,MHLを21J/cm2照射しても,照射前後で補体溶血活性に変化はなかった.一方,HPを最終濃度1.0μg/mlとなるように添加したモルモット血清では,MHLの照射エネルギー量に比例した補体溶血活性低下を示し,最終濃度3.0μg/ml以上のHP添加では1.56J/cm2の照射により10%以下の溶血活性しか残らなかった.また,12mg/kgのHPを腹腔内に注入し,2時間後に採取した血清にMHLを照射すると約43%の溶血活性低下がみられた.さらにEPP・PCT患者血清においても,MHL照射で50%以上の補体溶血活性低下をみた.以上の結果より,ポルフィリン体を含むヒトおよびモルモット結成にMHL照射を行なうと,その補体溶血活性の低下を来すことが明らかとなった.
  • 森下 玲子, 児浦 純義, 徳留 隆博
    1987 年 97 巻 7 号 p. 827-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    ATLの剖検例を報告した.症例は鹿児島県在住の40歳,男性.本例の特徴は,魚鱗癬様皮膚がATL細胞の浸潤のある特異疹であったこと,また剖検により炎症性病変を思わせる所見が,どの臓器にも認められず,心筋に広範囲に著明なATL細胞の浸潤がみられ,これが直接死因であると考えられる点であった.
  • 森田 秀樹, 倉本 賢, 湯 正明, 山縣 正治, 遠藤 秀彦, 相模 成一郎
    1987 年 97 巻 7 号 p. 833-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    螢光抗体直接法で真皮・表皮境界部にIgG,C3の沈着を認めた類天疱瘡患者7名について,酵素抗体法によりOKIa,OKT6,Leu1,Leu2a,Leu3a,Leu4a,Leu12,DRC1,S100蛋白,第Ⅷ因子関連抗原について検討した.その結果,いずれの症例においても水疱形成部周辺の紅斑性病巣部の真皮・表皮境界部に多数のOKIa陽性細胞が認められた.この所見は本症の水疱形成機序を考える上で興味深いと思われる.
  • 1987 年 97 巻 7 号 p. 837-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
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